菊池雄星、田中将大への憧れの思いとは「雪国の高校でも甲子園決勝で…」

菊池は田中と投げ合う前日に技術面のアドバイスを求める

 気持ちに余裕も生まれたからか、中学時代に憧れの存在だった田中に技術面のアドバイスを求めた。5月のヤンキースタジアムで初対面した田中にはほぼ挨拶程度だったが、この日は違った。

「いろいろ、お聞きしたいことがあったんで。ついつい、聞いちゃいました(笑)。滅多にお会いできないので」

 田中は握ったボールの押し込み方を示すように、右の人差し指と中指を開き菊池に何やらアドバイス。田中にしてみれば“スプリット”だが、菊池にしてみればほぼ同じ握りからリリースする“チェンジアップ”。6月から実戦で多投し出したその球の参考にしたいのは容易に察しが付く。第4の球種の精度向上には余念がない。

 27日に投げ合う田中は憧れの存在の1人。13年前の夏、甲子園の決勝戦で敗れたものの、マウンドで躍動する駒大苫小牧高の田中の姿を見た当時中学3年の菊池は、地元岩手の花巻東高への進学を決めた。

「雪国の高校でも日本一になれるんだという、衝撃を受けました」

 一方、田中は憧れの存在と伝え聞き、「無理やり聞いて、無理やり答え出してもらったんでしょ? そんなん、聞いたことない。優しいからそう言ってくれたんでしょ?」と苦笑。

 13年の時を経て、同じ夢舞台を目指した2人の青年がシアトルの地で同じマウンドを分かつ。

(木崎英夫 / Hideo Kizaki)

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