【ロッテ売り子名鑑】売り子歴24年を誇る幕張のレジェンド・近藤さん「自分の可能性に挑戦してみたい」

後輩にも必ず伝える売り子の心得「怪我をしない、させない」

 仕事場でもある球場の客席に立つと、まず「スタンドを全体的に見渡すようにしています」。飲み物がほしいお客さんを見逃していないか、集中力を研ぎ澄ます。最近は紙幣や硬貨をポーチにしまう売り子が増えているが、近藤さんは畳んだ紙幣を中指に巻き付けて挟む、昔ながらのスタイル。「ポーチに入れるとゴチャゴチャするので。コツはなるべく深く入れることですね」と熟練の技で、迅速な接客を心掛ける。

 後輩たちに、必ず教えてきた売り子の心得がある。「怪我をしない、させないってことですね。お客様を怪我させてしまったら、取り返しのつかないことになりますから」。特に子供が近くにいる時は、より慎重な気遣いを見せる。

「小さいお子さんがいる時は、飯台を少し高く持ち上げて、ぶつからないようにしています。あと、以前は飯台が金属製だったので、角を手で覆ったりしていました。当たったら角が一番痛いところなので。今は素材が変わりましたが、ぶつかったら危ないのは変わらない。お客様の間を通る時は、必ず『失礼します』と声を掛けています」

 近藤さんの気遣いは、ファンにもしっかり伝わっている。売り子歴5年以内という条件がなくなった今年、「自分の可能性に挑戦してみたいと思って」と売り子ペナントレースにエントリーした。すると、ファンから「頑張って下さい」「1位取って下さい」「近藤君に勝たせてあげたい」といった声を掛けられるようになった。すると、5月には2103杯(ハンデつき4206杯)を売上げてチャンピオンに。決勝ラウンドは「順位に関係なく、自分で楽しみながらやりたい」と控え目だが、応援してくれるお客さんの声には応えたい。

 9月はもう一つ、チームの行方が気になる。今年のパ・リーグは混戦模様で、ロッテはクライマックスシリーズ(CS)出場を巡り、激戦の真っ只中だ。「CS出場はあると思います。ロッテの場合だったら3位に入れば何とかなる。唯一下剋上をしたチームですから」と、2010年の再現を期待している。注目選手は、新加入のマーティンだ。「来てからチームがだいぶ変わった。あのレーザービームは見ていて衝撃的でした」と声を弾ませる。

 時折、スタンドを歩きながらチャンステーマを口ずさんでしまうことがある。「やっぱりロッテの応援は12球団イチ楽しい応援だと思います」。幕張のレジェンドは、今日もスタンドからチームをサポートし続ける。

(Full-Count編集部)

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