自分の弱さ認め、手にした強さ…ノーノー達成した中日・大野雄大の覚悟と進化

あらためて自分と向き合った今季「打たれても抑えても見るように」

 自らの不甲斐なさに、目をそらしていた。つい深酒してしまうこともあった。「負けて酒飲むなんて、カッコ悪いですよね……」。ふと外を見れば、巨人・坂本勇人や西武・秋山翔吾ら1988年世代が球界の中心にいる。「結果を残して、胸張って88年会に参加したいですねぇ」。三十路で迎えた今季。否が応でも、あらためて自分と向き合った。

「ホンマ、ダメなことやなって思うんですけど、今までは自分が打たれた試合ってあまり見てこなかったんです。見たくなかった。でも、今年から打たれても抑えても見るようにしました」

 マウンドで首をかしげる背番号22を客観視し、ひとつひとつ課題を整理していった。その時の試合展開や自らの心持ち、足りなかった技術……。情けない自らの姿が、苦境から抜け出すヒントでもあった。

 普段から底抜けに明るい京都出身の関西人は、誰にでも真摯に接する人格者。31歳の誕生日を約2週間後に控え、らしい笑顔が戻ってきた。9勝8敗となり、見えてきた4年ぶりの2桁勝利。無安打無得点という誇りを土台に、真のエースへと昇華していく。

(小西亮 / Ryo Konishi)

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