元DeNA久保康友が独白 日本で活躍しそうなメキシカンLの選手は? 「投手は正直…」

元巨人のマニー・アコスタ(右)らと写真に収まる久保康友(中央)【写真:福岡吉央】
元巨人のマニー・アコスタ(右)らと写真に収まる久保康友(中央)【写真:福岡吉央】

「日本に行って化学反応を起こしたらどうなるんだろうという選手はいました」

――地元の選手たちはどうしていたのですか?

「例えば試合中に照明が消えたり、雨でベンチ裏が水没したり、断水でトイレやシャワーが使えなくなったりと、毎日『マジかよ』と思うことが起こるんですが、メキシコ人はそれに対していちいち反応しない。それが日常で慣れてしまっているから、どんなことにも対応するんです。それは見習うべきすごいところ。

 ブルペンでも、投球練習の最中にフェンス越しに子供たちが『ボールくれ!』と言って話しかけてくる。日本みたいに囲まれた静かな部屋で勉強しなさいという環境だと、周りがうるさいと集中できない人になってしまうけど、こっちの選手は常にそういう環境に慣れている。僕は日本でプロになった後、例えばキャンプではブルペンでお客さんに一番近い側の、ガヤガヤした中であえて投球練習をしたりして、集中しづらい環境でも周りを気にせずに投げられるように訓練して、それを克服したけど、こっちの選手は子供の時からそういう環境に慣れている。中南米の選手にイップスがない理由も良く分かりました」

――チーム内のルールは?

「思っていたよりもきっちりしていて驚きました。去年、米国の独立リーグの時は自由な雰囲気だったので、メキシコももっと適当でよくて、自由にやれるのかと思っていたんです。でも実際は、キャンプ中は1か月間、1日も休みがなかったですし、プレーオフ進出が完全に無理になるまでは、ミーティングでも諦めるなとかコーチが言って、選手もそういう雰囲気を醸し出す。どうせもう無理なのに、表面上つくろわないといけないのは日本と似ていました。

 練習や打撃練習の球拾いも、ちゃんとやらないとやるように言われるし、集合時間や服装など、チームのルールの徹底も日本よりも厳しい。それは意外でした。ラテンの自由な考え方の選手がいろいろいるので、どんな感じなんだろうと思っていたけど、去年の米国の独立リーグとは真逆でしたね。練習すら参加するかどうか自由で、先発は試合でちゃんと投げてくれればいいという環境だったので」

――ファンとの触れ合いは?

「メキシコのファンは距離感が近くてすごくフレンドリーでした。その場をすごく楽しもうとしていて、裏がなく寄ってくる。大敗している試合でも、音楽に合わせて踊ったり、ヒットで走者が出塁したら大喜びしている。本当に野球や選手が好きで球場に来ているんだなと感じましたね」

――日本で見てみたいと思う選手はいましたか?

「今、日本で求められているタイプの選手というよりは、今までこんなタイプいなかったけど、日本に行って化学反応を起こしたらどうなるんだろうという選手はいました。1番タイプで長打が打ててブンブン振り回す選手とか。投手は正直、いいと思った選手はいなかったですね。95マイル(約153キロ)以上出て、腕が振れて、1つキレる変化球があるタイプじゃないと。防御率で上位に入っている選手でも、レギュラーとして先発5、6番手ならいけるかもしれないけど、助っ人としては厳しいかなというレベルです」

――メキシコの野球で感じたことは?

「例えば走塁、守備などに長けた選手が欲しかったら、選手を育てるのではなく、意識のある選手を獲るというのが向こうの考え方。日本なら『こうすればもっとよくなるよ』と教えるけど、海外は選手の数が多いから、この選手教えたら伸びるだろうなという意識が薄いんだと思います。余計な一言を言って、おせっかいみたいにするべきではないというのもある。興味がある人なら聞いてきたり、近づいてきたりする。こっちが良くないと思っていても、本人が良くないと思っていないなら、それは余計なお世話になってしまう。だから、守備位置や走塁を見ていて、もっとこうしたらいいのにと思うようなことは山ほどありましたけど、コーチも何も言わず、指導もしないんです。メキシコが国際大会であまり強くないのは、そういうところも原因だと思います」(続く)

(福岡吉央 / Yoshiteru Fukuoka)

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