日ハム田中賢、引退試合で叶えたかった2つの思い 「僕が見たいと…」「自分の場所だな」

日米通算1507安打、NPB通算は1499安打「いつもちょっと足りない野球人生」

 日米通算では1507安打を重ねたものの、日本通算では1500安打にあと1本届かない1499安打で終わった。20年間を振り返った田中賢は「いつもちょっと足りない野球人生。1499本だし、ヒットの数や打率も2番目だった」と苦笑いした。10年は193安打を放ち、打率.335の好成績を残したが、いずれもロッテの西岡に次ぐ2位の成績で打撃タイトルには届かなかった。

 それは献身的なプレーでチームを支えてきた証でもある。犠打はもちろん巧みなバットコントールでつなぎ役に徹してきた。08~10年には862打席連続無併殺打をマークしたが、これは今でもパリーグ2位の記録だ。06~10年には620試合連続出場し、08年には全イニングに出場と体の強さも抜群だった。

 自身の個人成績について問われると「あまり誇れる数字はないですね。悪くはないですけど、特別良くもないと思います」と笑った。「ただ自分がレギュラーで出ているシーズンはずっと優勝争いできたことはすごく誇りには思っています」。北海道移転後の5度のリーグ優勝と2度の日本一の全てにレギュラーとして関わった唯一の選手はそう言って胸を張った。

 真っすぐに信念を貫く男だ。13年からの2年間は、夢だったアメリカで過ごした。メジャーリーグでの通算成績は15試合に出場して30打数8安打2打点。「あの2年間行かなきゃ良かったのにという人はたくさんいますし、日本で2000本を目指すという道もありました。でも苦しい道に行くことを自分で決断したので後悔はしていません。アメリカで失敗したことはこの先に人生に生きると思っています」と語る。

 昨年12月に今季限りでの引退を発表して過ごしたラストイヤーはリーグ5位に終わった。黄金時代を支えた38歳は「強いファイターズを取り戻してほしい。それだけの力を持った選手がいるので、どうやったら勝てるのか感じてやってほしいですね」と後輩たちにエールを送った。

 引退セレモニーでは「少しでも北海道、そしてファイターズの力になれるように、これからも北海道でみんなと一緒に生きています」とファンに力強く約束した。北海道移転後の一時代を築いた男は最後までファンを魅了して、背番号「3」のユニホームに別れを告げた。

(石川加奈子 / Kanako Ishikawa)

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