「阿部さんがいたから21年間出来た」―日ハム實松が秘める感謝の思い
転機となった意識の変化「なんでオレは人のことばかり気にしているのかな」
「ふとした時に、『なんでオレは人のことばかり気にしているのかな』と。自分のことをやればいい、他の選手が打ったら打ったでいいじゃないか、と。そこからかな。他の選手のことを気にしないようになって、自分のことばかり考えるようになったのは。自分勝手にやるのとは違うよ。そうではなくて、とにかく自分のことをしっかりやることに集中するようにした」
「いきなり『阿部さんを追い抜いてレギュラーになります』というわけにはいかない。現実を考えたら。『自分がプロ野球界で生き残っていくためには』と考えた時に、守備でとか、バックアップでとかを考えるようになって……。そう考えると、後ろで投げるリリーフ投手と自然とコミュニケーションが多くなった。阿部さんと違うものをわざと出すのではなく、自分のしっかりとした考えを持って試合に臨めるように。データ研究や観察を大事にするようになった」
個人の打撃成績は決して目立つ数字ではない。それでも、プロ生活21年間を走り抜いたことは誇りだ。
「結果として21年も出来た。あの時、考え方を変えられたことは間違いではなかった。オレには合っていたのかなと。いろんな考え方があって、自分に合う考え方、やり方はある。そういうのを勉強して、いろんなタイプの人にいいアドバイスが出来るようになれば。技術では追いかけないといけないんだけど、それだけではないと思う」
實松の次なる舞台は後進の育成だろう。控え選手ながらも、プロで長くチームに貢献することができた。この経験を無駄にするつもりはない。
(小谷真弥 / Masaya Kotani)