菊池雄星、激動のメジャー1年目を総括「やっぱり世界一魅力的な場所」
楽しかったことは「イチローさんと一緒にいること」
マリナーズの菊池雄星投手が29日(日本時間30日)、本拠地・アスレチックスとの今季最終戦を前にメジャー1年目を総括した。「早かったですね。この間、東京で開幕したと思ったら、もう終わりかという感じはしますけどね。いろんなこと、野球以外も含めてありましたし、慌ただしく1年終わったなという感じですね」と振り返った。
今季は32試合登板し、6勝11敗、防御率5.46。3月21日に東京ドームで行われたアスレチックスとの開幕シリーズ第2戦でメジャーデビューし、開幕から6戦目となった4月20日の敵地・エンゼルス戦でメジャー初勝利。8月18日の敵地・ブルージェイズ戦ではメジャー初完封を飾った。「当然もっと勝ちたかったし、いい成績をもっともっと出したかったというのは当然あります。マイナス面もありますけれど、プラスの部分、32試合投げられたということもそうですし、160イニング(今季161回2/3)投げられたということもそうです。まず1年間ローテーションを守れたというのは一番1年間やった中で大事にしたいことです」と収穫も口にした。
憧れのイチローは3月21日に現役を引退。それでも、5月から球団の会長付特別補佐兼インストラクターとしてチームを支える役割を担った。「一番楽しかったこと」について聞かれた菊池は「ダントツでイチローさんと一緒にいることですね。イチローさんと毎日会話出来るプロ野球選手は僕だけですからね」と笑顔で断言。「イチローさんとお話をさせていただく中で悪い時だったり、うまくいかない時の取り組み方だったりとか、どうやってイチローさんが取り組んでこられたかを聞くことで本当にこの1年、打たれた時も落ち込んだ時も乗り越えてこれたかなと思います」と感謝した。
私生活では、3月末に父・雄治さんが59歳の若さで他界。7月には長男・嶺雄(レオ)君が誕生。異国の地で大きな悲しみと喜びを味わった。「本当に初めてのことばかりで野球以外も含めて。いろんな経験、別れだったりとかも誕生だったりとかしましたけど。すべて、大切な経験だと思うし。やはり父親にいい報告が来年できるように、そして息子にいい背中を見せられるような、そういう選手でありたいなと思います」と話し、来季に向け一つの糧とする。
温暖なアリゾナにはすでに家を購入し、11月からキャンプまでの3か月を米国での自主トレに充てる左腕は語気を弾ませた。「(大リーグは)やっぱり世界一魅力的な場所だと思いますし。勿論、簡単には勝たせてもらえないですし、だからこそ来た意味があると思いますしね。世界トップのピッチャーを見に来たのではなく、それに近づくというか、なるためにここに来たということを忘れずに、必死に練習したいなと思います」。その意気込みには並々ならぬ決意がにじんている。
(木崎英夫 / Hideo Kizaki)