亡き名将の思いを受け継ぐ3人の指導者たち 秋季全道大会が6日スタート
鵡川は今夏に続く2季連続で全道大会出場
来春のセンバツにつながる第72回秋季全道高校野球大会が6日、札幌円山で開幕する。10支部の予選を勝ち上がった20校が頂点を目指す中、ハンデを乗り越えた鵡川に注目している。
昨年9月の北海道胆振東部地震で震度6強の揺れに襲われ、野球部寮が半壊した。今も全選手が選手寮タイプの仮設住宅で暮らしている。被災のハンディを乗り越え、室蘭支部代表決定戦では駒大苫小牧を延長10回、2-1で撃破。今夏に続く2季連続の道大会出場を決めた。
歓喜したむかわ町民の多くが、目に見えない力を感じていた。02年センバツ初出場時のエースだった鬼海将一監督が、01年秋に駒大苫小牧を倒した時も延長10回、2-1と全く同じスコアだったからだ。相手の駒大苫小牧は当時夏の甲子園帰り、今夏も2年生エースの北嶋洸太を擁して南北海道大会4強入りし、優勝候補だった。
試合前夜、一部選手に当時の試合のビデオを見せた鬼海監督は「スコアまで全く同じで驚きました。佐藤先生が降りてきて、力を貸してくれたんだと思います」と8月19日に79歳で亡くなった佐藤茂富元監督の名前を口にした。80~90年代に砂川北(現砂川)を春夏3度の甲子園出場に導いた佐藤元監督は57歳で鵡川に赴任し、弱小チームをセンバツ出場3度の強豪に育て上げた。恩師が掲げた元気、本気、一気の三気野球と究極の全力疾走は今でも鵡川の礎になっている。