亡き名将の思いを受け継ぐ3人の指導者たち 秋季全道大会が6日スタート
開会式が行われる6日は奇しくも佐藤元監督の四十九日
開会式が行われる6日は奇しくも佐藤元監督の四十九日にあたる。阿部柊希主将(2年)が選手宣誓の大役を引き当てたのも不思議な縁だ。「人間的に強くならないと、グラウンドでも強くなれないと心の野球を説いた方。佐藤先生の思いを感じながら、全力野球、そして震災で支えてくれた方々に対する感謝の思いを伝えたいです」と阿部主将は語る。
実は、佐藤元監督と縁が深いのは鵡川だけではない。04、09年に鵡川の部長を務めた滝川西の小野寺大樹監督は空知支部予選代表決定戦の前日に「明日、茂富先生が来てくれないかなぁ」とつぶやいた。頼りにしていた左腕を骨折で欠く中、個々の力では上回るクラークに4-1で逆転勝ち。「ライナーアウトが多く、神がかっていた」という試合で全道大会出場を決めた。
11~12年に鵡川の部長として佐藤元監督とコンビを組んだ函館工の山本裕也監督は、函館支部を勝ち抜くと男泣きした。野球はもちろん人としての道を教わった恩師の訃報に触れ、何としても全道大会に出場したいという思いがあった。函館支部代表決定戦の函館ラサール戦は初回いきなり5点を奪われた後、猛打で逆転してコールド勝ち。「茂富先生が(白星を)呼んできてくれたんだなと思います」としみじみと語る。
道立校で半世紀に渡って指導にあたり、北海道の野球界に影響を与えた名物監督の教えを受け継ぐ3人の指導者。恩師への思いを胸に秘め、大会に臨む。
(石川加奈子 / Kanako Ishikawa)