400勝、365完投、4490奪三振…金田正一氏のアンタッチャブルな記録の数々

投手としての本塁打数も史上1位

○連続20勝 14年 史上1位

 入団2年目の1951年から国鉄を退団する64年までの14年間、すべて20勝以上。これに続くのは西鉄・稲尾和久氏が56年から63年まで記録した8年連続。3位は中日・杉下茂氏が50年から55年まで続けた6年連続。通算20勝回数でも金田氏は14回で1位、2位は南海、巨人の別所毅彦氏、西鉄・稲尾氏の8回だから断トツだ。20勝投手は2013年の楽天・田中将大投手の24勝を最後に出ていない。この記録も空前だ。

○通算奪三振 4490個 史上1位

 2位は米田哲也氏の3388個。金田のK9(9回あたりの奪三振数)は、7.31。昭和中期の水準では高かったが、今季のNPBはリーグ平均のK9が7.65。現代のエース級の投手の多くは9.00以上のK9だ。奪三振率なら金田氏を大きく上回るが、投球回数が少ないので、金田氏の記録には遠く及ばない。現役最多はロッテ涌井秀章投手の1688個だ。

○投手としての本塁打数 38本 史上1位

 金田氏の通算打撃成績は、1053試合2054打数406安打38本塁打177打点、打率.198。打率は低いが、1950年から60年まで11年連続で本塁打を打っている。代打などで109試合に出場するなど、打者としても手ごわかった。投手としての本塁打数2位は、南海、巨人の別所毅彦氏の35本。今季NPBでは投手の本塁打は0本、現役では阪神・藤波晋太郎投手、秋山拓巳投手の2本が最多であり、この記録もアンタッチャブルになっている。

○左投手の完全試合 史上唯一

 完全試合は史上16回記録されているが、左投手では金田氏が1957年8月21日に中日球場の中日戦のダブルヘッダー2試合目で記録したのが唯一の記録。

○兄弟で100勝以上 史上唯一

 兄・金田正一氏が400勝、弟・金田留広氏(昨年10月2日逝去)が128勝。これもNPB史上唯一の記録だ。兄弟での528勝は、野口明氏(49勝)、野口二郎氏(237勝)の286勝を大きく超えて、これも史上1位。

 金田正一氏のアンタッチャブルな記録は、子細に見ればさらに増えていく。昭和の野球は現在とは大きく異なってはいるが、それでも金田正一氏は「不滅の大記録」を多数残した選手として野球史に刻まれるだろう。

(広尾晃 / Koh Hiroo)

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