ドラフトを待つ無名校の152キロ右腕 1日50分の練習で躍進「センスある人に負けたくない」

「武田高校のトレーニングを理解してやれば150キロは誰でも出ると思う」と話す谷岡楓太【写真:橋本健吾】
「武田高校のトレーニングを理解してやれば150キロは誰でも出ると思う」と話す谷岡楓太【写真:橋本健吾】

武田高校のトレーニング、練習を理解すれば「150キロは誰でも出ると思う」

 谷岡自身も「自分はセンスがないので、センスのある人に負けたくない」と語る。入学当初の50メートル走は7秒3、筋力数値も下から数えた方が早かった。それでも「武田のトレーニングを理解してやれば、150キロは誰でも出ると思う。これまで出てない人はやってないだけ、自分はただやっただけ」と淡々と口にする。

 限られた時間の中でブルペンでの投げ込みはほとんど行わない。“ブルペンエース”と言われる選手が多いことも理解している。「無駄とは思わないがやっぱり“対人”で投げないと意味がない。変化球だって実戦で試した方が早い」。練習のための練習ではなく、実戦で通用する“最短ルート”を求めた。武田高校だからこそ得られたと言ってもいい。

 ここまで5球団から調査書が届きドラフト当日を待つ谷岡。指名がない場合は大学進学が決まっている。将来的な目標は世界最高峰の舞台・メジャーリーグで強打者たちと対戦することだ。今後の成長過程、自身のピークを逆算していくと大学4年間は貴重な時間になる。

「トレーニング次第で自分が目標とする160キロは出ているかもしれない。年齢的なことを考えたらそのままアメリカにいくのもありかなと思っています」

 決してビッグマウスではない。2年半で裏打ちされた経験と成長、そしてまだまだ伸びしろのある“未完成”の右腕が今後、どのような野球人生を過ごしていくのか。まずは運命の「10・17」に注目したい。

(橋本健吾 / Kengo Hashimoto)

RECOMMEND

CATEGORY