阿部は「名監督になれる」元巨人スコアラーが分析 投手、野手の起用の特徴は?

投手起用は細かくなる 変則左腕ら一芸に秀でた選手を起用する

 逆に投手に関しては厳しい指導になるんじゃないかと思います。阿部選手は投手のことをよく考えている捕手。試合はピッチャーが“絶対”と思っている。投手整備は先発、中継ぎ、抑えときっちりしていく。他にも、中継ぎも特徴のある選手を起用していくんじゃないかなと思う。絶対的なスライダーを持った投手とか、変則の左投手とか…。一芸に秀でた投手を打者によって使い分けると思う。

 下位打線には、まっすぐでどんどん押す投手。クリーンアップは変化球を扱える投手をぶつけてきたりする。捕手は、流れを特に感じながら、リードをしないといけないから当然、リリーフの使い方も知っている。投手コーチに任せっきりになるのではなく、型にはめず、自分で流れを読むと思う。

 戦術に関しても、捕手の目線が生かされたものになると思う。まずは得点圏に走者を進めて…みたいな型にはまらない野球をするんじゃないかな。西武で黄金期を築いた森祇晶さんも捕手でしたが、巨人のV9の手堅い野球を西武でもやっていた。阿部選手は原辰徳監督のやっている野球を自分と置き換えて見ていたはずなので、強い原野球に、捕手目線が加わった名監督になると思います。指導者・阿部が非常に楽しみです。

(三井康浩 / Yasuhiro Mitsui)

プロフィール
三井康浩(みつい・やすひろ)1961年1月19日、島根県出身。出雲西高から78年ドラフト外で巨人に入団。85年に引退。86年に巨人2軍サブマネジャーを務め、87年にスコアラーに転身。02年にチーフスコアラー。08年から査定を担当。その後、編成統括ディレクターとしてスカウティングや外国人獲得なども行った。2009年にはWBC日本代表のスコアラーも務めた。松井秀喜氏、高橋由伸氏、二岡智宏氏、阿部慎之助選手らからの信頼も厚い。現在は野球解説者をしながら、少年野球の指導、講演なども行っている。2月8日に初著書「ザ・スコアラー」を上梓。

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