【プレミア12】「復調を待ってたら終わってしまう」―白星発進の侍J、坂本に代打を送った意味

「あの犠牲フライは稲葉監督が打たせた犠牲フライ」

 この回、侍ジャパンは続く菊池(広島)が同点打を放つと、近藤の押し出し四球で勝ち越し、4番の鈴木(広島)が2点差に広げる犠飛と打線がつながった。この鈴木の犠飛も「稲葉監督が打たせた犠牲フライと言えますね」と野口氏は語る。どういうことか。

「稲葉監督は思い切ったことやるな、と感じたのが7回に鈴木の打席で出したエンドランのサインです。あれは明らかにエンドランの打ち方だったと思いますが、鈴木は初球の見逃しストライクでなかなかバットが出てこない状況でした。1、2打席目も先発左腕のドゥブロンの前に見逃し三振に倒れていた。3打席目は『(ピッチャーが)代わってくれてよかった』という感じでタイムリーも打ちましたが、その次のこの打席の初球でもバットを出すことに躊躇している感じがありました。そこで強制的にバットを振らせるという意味では、ヒットエンドランは非常に有効な作戦です。結果は三ゴロでしたが、稲葉監督は鈴木に積極的に振る意識を無理矢理にでも呼び起こさせようとしたのではないでしょうか。そこまで考えて出されたサインであれば、その次の打席の犠牲フライは稲葉監督が打たせた犠牲フライと言えます。『積極的に打ちにいかないと』『見ていたら終わっちゃうよ』と。そういうメッセージがあのサインには込められていたのではないかと思います。

 稲葉監督は選手としても、打撃コーチとしても国際大会の戦い方は分かっている。甘い球は好球必打ということが必要です。相手のベネズエラの打者も、前半は早いカウントからどんどん打ちに来ていました。積極的に打ちに行くことは大事です。鈴木は実際に2打席目まではああいう内容でしたが、終わってみれば2打点。これで第2戦目以降は通常通りの鈴木誠也になってくれれば、日本にとって非常に大きい」

 鈴木本人にとって、そして、日本にとっても結果を出したことは大きかった。

最大の課題はやはり動くボールへの対応か

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