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松坂大輔が中日柳&小笠原へ残した“財産”とは「いつか投げ合えるかもしれない」

起きぬけにベッドの上で、スマホの画面を見ながらボロボロと涙をこぼした。10月4日の朝。隣で寝ていた新妻が起きるほどの嗚咽だった。今季11勝を挙げた中日の柳裕也投手が見ていたのは、1通のメッセージ。その日に中日退団が決まった松坂大輔投手からの惜別の言葉に、感情の抑えが効かなかった。それほど、特別な人だった。

「俺と雰囲気が似てるな」小笠原は夏の甲子園優勝投手で高卒ドラフト1位の共通点

 圧倒的な存在ゆえ、若手の中にはつい身構えてしまう選手もいたが、“来るものは拒まない”懐の深さがあった。プロ4年目の今季に左肩痛で出遅れた小笠原慎之介投手にとっては、復帰へと向かう「道しるべ」となった。ここ数年右肩の不調に悩まされてきた松坂の生きた経験は、自らに当てはまることばかり。ケア方法や負担のかからない体の使い方を丁寧に教えてくれた。「こんなに面倒を見てくれ、今でもびっくりです」。小笠原は8月に復帰を果たすと、3勝を挙げて来季への足がかりをつくった。

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「まさか一緒に野球ができるなんて思いませんでした」。1年目の16年、ど緊張した初対面の記憶を思い出す。1軍初登板初先発を果たしたソフトバンクとの交流戦の直後、福岡遠征の夜だった。当時の友利結投手コーチに連れられて食事に行った際、そこに松坂が現れた。18歳だった小笠原はろくに言葉を発せなかったが、「俺と雰囲気が似てるな」と言ってくれたことがすこぶるうれしかった。夏の甲子園優勝投手で、高卒ドラフト1位という共通点が、余計に誇らしく思えた。

 ファンに夢を与えるプロ野球選手を、夢見心地にするアイドル。柳と小笠原は、松坂が使っている香水をお揃いで購入したこともある。メッセージのやりとりで松坂がよく使う絵文字も、真似して頻繁に使うようになった。グラウンド内外での一挙手一投足が、憧れ以外の何物でもなかった。

「投げられるようになって良かったな。また来年から活躍できることを期待してるから」。柳と同じく、小笠原にもメッセージが届いた。恩返しの場は、マウンドと決まっている。近い将来の、淡い期待。「もしかしたら、いつか松坂さんと投げ合えるかもしれないですし」。まぶし過ぎる「怪物」との日々で得た財産を、今度は中日の将来を照らす力に変えていく。

(小西亮 / Ryo Konishi)

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