侍Jと“全勝対決”台湾代表幹部が見据える東京五輪「プレミア12で韓国より上に」
台湾プロ野球宣推部主任の劉東洋氏は台湾代表をサポート
「第2回 WBSC プレミア12」のオープニングラウンドB組(日本、台湾、プエルトリコ、ベネズエラ)が開催されている台湾は、大きな盛り上がりを見せている。CPBL(中華職業棒球大連盟)の宣推部主任として台湾チームのサポートをしている劉東洋氏に、今年の台湾代表について聞いた。
――今年の台湾代表はこれまでにも増して気合が入っているように見えますが
劉氏「なんと言っても、東京オリンピックへの出場資格がかかっていることが大きいでしょう。韓国もそうだと思いますが、台湾国民にとっても五輪出場は重要な意義があります。それに選手にしても、生涯に出場できるかどうか分からない大会ですから、大きな意味があるでしょう。2008年北京オリンピックのときは、アジア予選では日本が連勝して代表になりましたが、世界最終予選で台湾は代表を勝ち取りました。そのときは8チームで3つの代表を選びましたから、確率は高かった。でも、今回は、プレミア12で敗退して、最終予選に回ると6チームで1つの代表を争いますから結構厳しいです。それを考えても、プレミア12では、最低でも韓国より上に行かないとだめだと思います。そのことは監督だけでなく選手もみんな分かっています」
――今年の台湾代表の強みはなんですか?
劉氏「先日の記者会見で洪一中監督は記者団の質問に『一番自信があるのは打線』と答えていました。確かに強力だと思います。ただ、今のCPBLは打高投低なので、ちょっと投手がよくないのですが、それをアメリカや日本でプレーしている投手が補っています。5日のプエルトリコ戦では右腕の江少慶投手が先発して好投しましたが、彼はインディアンスのAAAにいて、MLBに上がってもおかしくない投手です。こういう投手が育っています。また6日のベネズエラ戦はオリックスにいる張奕投手が素晴らしいピッチングでした。今回はアメリカの選手を招聘しましたが、40人枠にいる選手は呼ぶことができませんでした。でも、それ以外でも良い選手が育っています」
――少し前まで、台湾の有望な選手はNPBやMLBに行くことが多かったですが、最近はそうではないようですね?
劉氏「台湾はもともとU-18やU-12のレベルでは強いのですが、そういう選手がプロに入って伸び悩むことが多かった。それに海外に行ってしまうこともたくさんありました。でも、今はCPBLの選手の待遇が良くなって、昔なら海外に行っていたような有望な選手がCPBLに進んで活躍するようになりました。国内リーグも盛り上がっていますし、良いことだと思いますね」
――今回の侍ジャパンで、劉さんが注目している選手はいますか?
劉氏「今、パ・リーグの試合を台湾でも放送しています。私はその解説者も務めているのですが、福岡ソフトバンクホークスの松田宣浩選手に注目しています。松田選手はリーダーシップのある選手で、ガッツもあります。『自分が代表に選ばれたらがんばります』というコメントも出していますし、国際試合での存在感は大きいと思います。注目したいですね。
6日に台湾対ベネズエラが行われた台中インターコンチネンタル野球場には「日本に行くぞ!」というボードを持ったファンがいた。2連勝でこれを実現した台湾は、7日に全勝同士で日本と対戦する。
(広尾晃 / Koh Hiroo)