【プレミア12】先発は山口? 岸? 決勝王手の侍J、韓国戦で「理想」の形を作るために…

「山口がちょっと使いづらい」理由と「岸が行ったほうがいい」理由は…

 野口氏は「岸が行ったほうがいいと思います。今の状態なら、岸のほうがピッチングとして組み立てやすいでしょう」と言う。では、今季投手3冠(最多勝、最高勝率、最多奪三振)に輝き、横浜(現DeNA)時代には野口氏とチームメートでもあった山口の現在のピッチングについてはどう見ているのか。

「先ほどの落ちる球の話で言えば、先発でフォークを投げられる山口はしっかり抑えられるはずなのですが、ディープなカウントに行く前にコントロールミスしてやられてしまっている。追い込むまでの過程での真っ直ぐが甘いところに入ってくる状態です。甘いところでボールになるということではなくて、甘いところのストライクゾーンに入ってきてしまうからやられてしまう。例えば、ストライクゾーンではなくてボールゾーンに来るなら、やり直しがきくのでまだ他に考えようがあります。ただ、それを真ん中に投げてしまうと、本当に真っ直ぐを消すしかなくなってしまう。どんどんやられていってしまうので。逆にボールゾーンにいっていれば、それを見せ球に使えばいい、となりますが……。甘いところに抜けてくるボールは見せ球としては使えない。ただ、山口のピッチングスタイルから考えると、真っ直ぐを消すと非常にしんどい。カーブ、スライダー、フォークばかり投げるわけにはいかないので。割合として真っ直ぐを減らせても、消すことはできない。そういう意味でちょっと使いづらい状態ではあります」

 逆に、岸には安定感がある。コンディション不良で出遅れ、本来期待されていた先発ではなくて中継ぎでの登板をこなしてきた岸だが、1回を3者凡退に抑えた7日のオープニングラウンドのチャイニーズ・タイペイ戦(台中)を含めて、投球内容は上々だ。オーストラリア戦で2イニングしか投げていないことでコンディション面も良い。山口は韓国戦で登板しなかった場合、決勝に進んだ場合に先発の選択肢に入れることもできる。

「岸は山口と同じ中4日でも、前回は2イニングしか投げていない。チャイニーズ・タイペイ戦とオーストラリア戦の投球を見ても、今ならば岸のほうが安定感はあります。組み立てを考えても、岸のほうが自在なピッチングができると思います。コントロールもいい」

 2日間試合がなく、残り最大で2試合ということを考えれば、ブルペンについては盤石。「みんな揃っていきましょうという感じでしょうね。韓国が相手だとシュートなどが有効になる可能性もあるので、大竹あたりも出番が出てくるのではないでしょうか。その次の試合で中南米系のチームが相手になったら、また落ちる球も有効になってくる」。まずは韓国戦で岸が先発すれば、中盤までゲームを組み立て、後は救援陣がしっかり試合を締める形を作ってくれると野口氏は見ている。

 世界一まであと2勝。まずは、前回大会の準決勝で大逆転負けを喫した宿敵・韓国との一戦を制し、しっかりと決勝へと駒を進めたいところだ。

○『世界野球プレミア12』の主な予定(テレビ朝日系列で放送)
11月17日(日)「決勝」

(Full-Count編集部)

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