怒声・罵声は選手を萎縮させる 元プロが少年野球チームの新しい形に共感

練習時間はもう1時間あってもいい 工夫が加わればさらに魅力的なチームに

 練習時間が土日のどちらかの半日と言います。土日、祝日の午前9時から午後5時まで練習するチームに比べると、約4分の1の時間量です。確かにダラダラと無駄に練習時間が流れていく。お昼休憩を挟んでまたやるというのは効率が悪いです。しかし、個人的にはもう少し、長くやってもいいかなとは思います。練習時間が午前9時から正午くらいだとするならば、もうプラス1時間くらいあってもいい。

 チームの人数が増えてきてしまうと、ノックや打撃練習をする時間、絶対数が少なくなってしまいます。例えばですが、このチームの場合はプラスした1時間で、ネットを広げて一斉に10か所でティー打撃をやるなどといった練習がいいと思います。40~50分打てば、かなりの量の球を打つことができます。そういう練習面の工夫はもっとできるかなと思います。1時間でいいです。それ以上やると飽きてくる子供たちも増えてくると思いますから。

 ブエナビスタ少年野球クラブの練習量は決して十分だとは言えません。ただ、「もの足りないね」と思わせる練習量でいい側面もあります。そうすれば、自分に何が必要かがわかるし、そう思える子は考え方がしっかりとしていく。そういう意識を小さい頃からしっかりと育てることが大切です。このチームはもの足りないと感じた選手が、練習後に公園や野球場で自主練習をしたり、子供たち同士で話し合っているそうです。

 いい選手をプロ野球などの高いレベルに輩出していければ野球熱が上がっていくと思います。だから、長い目で見て、裾野の拡大は必要なんです。聞くと部員数も伸び、毎週のように体験希望の子供が来るそうです。このチームの考え方が子供と一緒に伸びていくと感じました。

(三井康浩 / Yasuhiro Mitsui)

プロフィール
三井康浩(みつい・やすひろ)1961年1月19日、島根県出身。出雲西高から78年ドラフト外で巨人に入団。85年に引退。86年に巨人2軍サブマネジャーを務め、87年にスコアラーに転身。02年にチーフスコアラー。08年から査定を担当。その後、編成統括ディレクターとしてスカウティングや外国人獲得なども行った。2009年にはWBC日本代表のスコアラーも務めた。松井秀喜氏、高橋由伸氏、二岡智宏氏、阿部慎之助選手らからの信頼も厚い。現在は野球解説者をしながら、少年野球の指導、講演なども行っている。2月8日に初著書「ザ・スコアラー」を上梓。

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