清原和博監督の前で躍動、中日戦力外の友永「クビになった悔しさをぶつけました」

ワールドトライアウトに参加した友永翔太【写真:編集部】
ワールドトライアウトに参加した友永翔太【写真:編集部】

「ワールドトライアウト」2試合で計4打点、苦い思い出の背番号「1」で活躍

 今季限りで中日を戦力外となった友永翔太外野手が30日、公開トライアウト「ワールドトライアウト2019」に出場。監督を務めた清原和博氏の見守る中、2試合で計4打点と奮起した。「クビになった悔しさをぶつけました」と結果より気持ちの整理を求めた舞台で、元NPB選手の意地を見せた。

 出場選手が2チームに分かれて午前と午後の2試合実施。1試合目に3番で先発した友永は初回の好機できっちり犠打で先制点をもたらすと、2回の第2打席には初球を振り切って右前への適時打に。1番でスタメンだった2試合目には、右中間を深々と破る2点適時三塁打も放った。守備では、本職は外野ながら「新しいことに挑戦したい」と不慣れな二塁に。二遊間のゴロを難なくさばくなど器用さも見せた。

 苦い記憶しかない「背番号1」が、冬空の下で輝いた。社会人の日本通運からドラフト3位で15年に中日に入団。170センチと小柄ながらパンチ力のある打撃を期待され、当時の落合博満GMから背番号1が与えられた。だが、その重圧を味方にできず、今季は背番号62に“降格”。背水のシーズンだったが、1軍出場10試合にとどまり、悲痛な宣告を受けた。

 戦力外となった時点で、野球には区切りをつける選択肢もあったが、家族ら周囲の望みもあり11月12日の「プロ野球12球団合同トライアウト」を受験。さらに「悔いを残さないようにやりきりたい」とワールドトライアウトへの出場も決断し、背番号1を身にまとった。

 4打点という結果は、そこまで重要ではなかった。「終わったばかりなので、これからどうするかとかはわからない。考える段階になったら、いろんなことが見えてくると思う」。スタンドには、背番号62のユニホームを着て声援を送るファンの姿もあった。ここで野球にピリオドを打つのか、泥臭くユニホームを着続けるための選択肢を探るのか。どんな道を選ぶにせよ、迷いなく再出発できるはず――。そう思わせるほど、球場を後にする友永の表情は晴れやかだった。

(小西亮 / Ryo Konishi)

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