野手転向1年目のハム白村、減額制限超の大減俸にも前向き 「糸井さんのように…」
今春キャンプで投手から野手に転向、2軍で3本塁打をマークした
日本ハムの白村明弘外野手が2日、札幌市の球団事務所で契約更改交渉を行い、950万円減の900万円でサインした(金額は推定)。今季投手から野手に転向した27歳は減額制限を超える大減俸にも「もう1回新しい野球人生を歩ませてくれることに感謝しています」と明るい表情だった。
野手になって最初のシーズンを乗り越えた白村の口から次々と前向きな言葉が飛び出した。「支配下のまま契約してくれたことをすごくありがたいと思っています。正直、金額はいくらでも良かったので」「ここから練習量と技術が加わっていったらもっと進化できるんじゃないかなと思います」「皆さんがここまでしかできないと思っているとこよりも遥か上を行けるように。いい意味でみんなの期待を裏切りたいです」。
これまでにない苦労をした1年だった。入団2年目の15年に50試合に登板し、13ホールド、防御率2.03の好成績を残したリリーフ右腕が野手に転向したのは今年2月のキャンプ中。中学生以来となる野手挑戦は想像以上に過酷だった。「むっちゃ、きつかったですね。練習量はピッチャーの時と比べものにならなかった」と体重は7キロ減った。当初はバットを100回振ると、両手がボロボロに。だが、シーズン中も振り込みを続けることで秋季キャンプに皮が剥けることは1度もなかった。「(吉村)GMからも『いい体になった。野手っぽくなった』と言ってもらいました」とうなずいた。
野手として初めて迎える今オフは、まず食事とトレーニングで体重を増やす。現在の84キロから91キロへの増量が目標だ。年明けには、昨年同様に中田翔内野手と一緒に大阪で自主トレを行う。「アップからきつい。2、3週間ですけど、骨を大阪に埋めに行きます。それぐらいの気持ちでやったらまた強くなると思うし。翔さんに聞けることは全部聞いて、しっかり吸収したいと思います」と力を込めた。
目指す選手は、日本ハム時代に投手から野手に転向して成功した阪神の糸井嘉男外野手。「同じ道を歩ませてもらっていて、僕よりはるかにすごいと思うんですけど、身体能力タイプで似てると言われたこともあります。ああいう風になりたい。糸井さんはすごい練習したと聞いているので、僕もしっかり練習して少しでも近づけるように」と熱っぽく語った。
今季イースタン・リーグで3本放った本塁打の感触が忘れられない。「ホームに帰ったら、ベンチの前でみんな祝福してくれるし、年下ばっかなのにみんな俺の頭叩くし。でも、それもうれしかった。野手っていいなって思いました。札幌ドームで? もちろん、そこを目標に。1本だけじゃなくてたくさん打てたらいい」。そう語った後で報道陣を見回した。「打てると思ってないでしょ! みんな無理だろうと思っているだろうけど、その期待を裏切れるように」とニヤリと笑った。
(石川加奈子 / Kanako Ishikawa)