球団消滅から15年― 豪快伝説、個性派集団、いてまえ打線…最後の選手会長が語る近鉄
球界再編に揺れた2004年のことを知らない野球ファンに、礒部氏が伝えたいこと
15年という月日は長い。今や、近鉄に在籍経験のあるNPBの現役選手は、岩隈久志投手(巨人)、近藤一樹投手、坂口智隆外野手(ともにヤクルト)の3人を残すのみだ。
「年齢は年齢ですが、主軸で出られる選手3人なので、最後までもがいてほしい。(近鉄のことを)語れる人間がいなくなってしまうので。坂口と近藤は、僕たちと一緒に(1軍で)やってはいないんですが、クマ(岩隈投手)は今回、話に行ったときにも『基礎は近鉄』という感じで話してくれましたし。とにかく、あいつらには頑張ってほしいですよね」
球界再編の波が押し寄せた2004年、礒部氏を含むプロ野球選手会の尽力によってさらなる球団削減は避けられ、楽天の参入による12球団による2リーグ制を維持することができた。それから15年が過ぎ、当時のことを知らない人々の数も増え始めている。
「15年前というと、今の若い子の中には何が起きていたかわからない方もいると思います。もちろん、経験しない方がいいことだとは思いますが、こういうことがあったから選手会が強くなって、今も12球団が存続しながらやっているんだよ、ということを、中学生や小学校高学年くらいの子ならこの本によって理解できると思うので、読んでもらいながら球史の勉強をしてほしいなと思いますね」
当時のことを知らない野球ファンに対して特に伝えたいことを聞くと、礒部氏は次のように答えてくれた。
「一番最初に、近鉄という豪快なチームがあったんだよ、ということを教えてあげたいです。また、経営や商売の話になってくるので、プロ野球でチームを残すということは非常に難しいんです。本に書いた内容も含めて、今後プロ野球が良くなるように、こういうこともあったんだよということを教えていってあげたいなと思います」