今季の疲労は来季に影響…連投データで分析、救援陣の負担を抑えられた球団は?

チーム別3連投以上登板数【画像提供:DELTA】
チーム別3連投以上登板数【画像提供:DELTA】

よりチーム方針が出やすい3連投データで見てみると…

 ただ143試合をこなす中で2連投を避けてシーズンを戦い抜くのは非現実的だ。ある程度の連投が発生するのは仕方ない。しかし2連投なのか3連投なのかでは負担に大きな違いがあるはずだ。ここではよりチームの方針が出やすいと思われる3連投以上に絞って、さきほどと同じように2015-19年の球団別データを見てみたい。

 今季の3連投以上に注目すると、ここでもロッテが非常に目立っている。2018年に21回あった3連投以上の登板は、今季6にまで減少。多くの球団で20回前後3連投以上があったことから考えると、連投を避ける意識を非常に強く持っていたことがうかがえる。ちなみにロッテ救援陣の投球回は2018年の440回1/3から今季は479回1/3に増加していた。そうした中でこれだけ連投を減らすのは至難の業だ。

 ロッテは今季から吉井理人コーチが投手コーチに就任している。投手のコンディションへの理解が深い吉井コーチの巧みなブルペン運用の成果がこうしたデータに表れているのかもしれない。イラストを見ると、吉井コーチが在籍した2015年のソフトバンク、2016-18年の日本ハムも11以下と3連投以上の登板を少なく抑えることに成功していた。

 さきほど今季最も連投が多かったと紹介した日本ハムは、3連投以上においては10とロッテに次ぎ少なかった。2連投までは仕方ないが、3連投以上に関しては厳しく管理する方針がチームで徹底されているのかもしれない。

 巨人は3連投以上の登板が27とひときわ多い。特に田口麗斗は7月6日から今季のNPBで唯一の5連投をこなしたほか、同じく7月後半に4連投をこなす機会もあった。優勝争いの中でやむをえない部分もあったのかもしれないが、もう少し負担を減らしながら戦いたいところだ。チームはオフにチアゴ・ビエイラ、エンジェル・サンチェスと外国人投手を補強している。ほかの投手陣の負担を軽減するためにも彼らの活躍は欠かせない。

 すでに述べたように近年NPBの連投数は増加している。もし今後もこうした状況が続けば、救援投手のコンディションをどのように管理するか、ブルペン運用は以前にも増して重要になるだろう。試合単体を観戦するだけではなかなか気づきにくいが、シーズンを通すとこれほど大きな差が生まれる。この差が来季以降にどのように影響してくるか注目したいところだ。

(DELTA)

DELTA http://deltagraphs.co.jp/
 2011年設立。セイバーメトリクスを用いた分析を得意とするアナリストによる組織。書籍『プロ野球を統計学と客観分析で考える デルタ・ベースボール・リポート1~3』(水曜社刊)、電子書籍『セイバーメトリクス・マガジン1・2』(DELTA刊)、メールマガジン『1.02 Weekly Report』などを通じ野球界への提言を行っている。集計・算出した守備指標UZRや総合評価指標WARなどのスタッツ、アナリストによる分析記事を公開する『1.02 Essence of Baseball』(https://1point02.jp/)も運営する。

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