則本昂、岸が序盤離脱もAクラス入り 美馬移籍の“穴”を埋めるのは…楽天19年投手陣
中継ぎ陣には新たなる希望が、自身初タイトルを獲得した絶対的守護神も
中継ぎ陣ではアラン・ブセニッツ投手、森原康平投手が大きく躍動した。今季から加入したブセニッツは5月に1軍昇格を果たして以降、シーズン終了まで帯同し続けた。150キロを超えるストレートと大きく落ちる高速カーブが魅力であるブセニッツは8月は14試合に登板。防御率0.00を記録して「大樹生命月間MVP賞」に輝いた。また、8月は登板数の半分にあたる7試合が同点の場面であり、痺れる場面での登板が多かったが、これは首脳陣からの信頼の厚さの表れだろう。
3年目の森原は150キロ台のストレートと鋭く落ちるフォークを武器に、シーズン通して1軍に帯同し、チームを支え続けた。64試合に登板し、29ホールド、防御率1.97と、いずれもキャリアハイの数字を残している。また、被打率に着目すると、右打者は.198、左打者は.213と、左右どちらも苦手とすることなく、安定感も年々増している。序盤から好救援を積み重ねた森原はシーズン終盤にはセットアッパーとして絶大な信頼を勝ち取った。来季以降もさらなる活躍に期待ができそうだ。
守護神の松井裕樹投手は68試合に登板、防御率1.94でキャリアハイとなる38セーブをマークし、自身初となる最多セーブに輝いた。これまで決め球としてチェンジアップを多投していたが、今季はスライダーにさらなる磨きをかけ、決め球、そしてカウント球として使用し、投球の幅を広げた。スライダーでの被本塁打は0であることから、この質の高い変化球などが松井の投球を支えたことは間違いない。
しかし、8敗を喫しており、守護神としての課題も残ったシーズンとなっただろう。危なげない投球であっさりと試合を締める日もあれば、制球を乱し、一発を浴びる日もあるなど、日によるばらつきが見られた。来季は先発への再挑戦を明言しているが、今季に得た課題を克服してより一層の活躍を見せられるか。
今季8勝を挙げた美馬がロッテへ移籍したこともあり、2年連続Aクラス入りを果たすためには投手陣全体の底上げが必要となるだろう。今季自己最多の27試合に登板し9勝をマークした辛島航投手や、ルーキーながら完封勝利を記録するなど3勝をマークした弓削隼人投手といった先発左腕に期待が寄せられるシーズンとなりそうだ。