中日柳が公私で芽生えた「柱」としての自覚 “ブチギレ事件”の後悔と家族の重み

12月には第1子となる長男が誕生した中日・柳裕也【写真:本人提供】
12月には第1子となる長男が誕生した中日・柳裕也【写真:本人提供】

結婚記念日は小学6年の時に交通事故で亡くなった父・博美さんの命日

 春から夏にかけて白星を積み上げていた最中、私生活でも大きな節目を迎えていた。5月下旬、1年半ほど前に知り合った真子さんにプロポーズ。すぐさま二つ返事をもらった。結婚記念日として提案したのは、8月20日。それは、小学6年の時に交通事故で亡くなった父・博美さんの命日だった。

 奇しくもその日は真子さんの父の誕生日でもあるという巡り合わせ。真子さんは当初「裕也にとっては悲しい日なのに…」と気遣ったが、柳は愛妻に言った。「今までは寂しい日だったけど、これからは家族にとっていい日にしていきたい」。婚姻届を提出した後、2人で夏空に向かって「これからもよろしくお願いします」と報告。女手ひとつで柳を育ててきた母の薫さんも、結婚の知らせに「嬉しい日だなと初めて思えた8月20日でした」と温かい思いに浸った。

 ウイニングボールを帰宅後に愛妻に渡し、テレビの棚に並べてもらうのが新婚夫婦の決まり事。「来年もそれをどんどん増やしていけるように」。今月4日には、第1子となる男児が誕生。3人家族になった。愛息を抱き、初めて芽生えた感情もある。「人生が変わるというか、自分の子どもは世界一。どんなことでもできると思います。月並みな言葉ですが、もう1人じゃない。守っていかなきゃいけないものがある」

 来季は、自球団には期待され、他球団には研究される。「11勝をベースに見られるようになる」。竜のエースの座を担っていかなければいけない立場にいることも自任している。今季最優秀防御率のタイトルを獲得した大野、自主トレで弟子入りする吉見一起、そして今季までの2年間同じユニホームを着た憧れの松坂大輔……。そんな先輩たちと同じ道を歩んでいけるように「来年はもっと最高の1年にします」。人生のピークは、まだまだ先にある。

(小西亮 / Ryo Konishi)

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