163キロ右腕が決勝登板回避 春は東邦石川&夏は星稜奥川が躍動… 2019年の高校野球

U-18ワールドカップは5位に、来春の選抜大会より投手の球数制限を実施

 地方大会では、この春に163キロの剛速球を投げた大船渡の佐々木朗希投手に注目が集まったが、佐々木は岩手大会決勝で登板しなかった。大船渡は花巻東に敗退したが、佐々木を登板させなかった大船渡・國保監督の判断に賛否大きな議論が巻き起こった。

 令和最初の甲子園である第101回夏の甲子園は、決勝戦で履正社が、星稜を5-3で下して初優勝。星稜の奥川恭伸投手は5試合41回を512球という効率的な投球で注目を集めた。

 8月10日、岡山学芸館と広島商の試合で、岡山学芸館の先発・丹羽淳平(3年)が1回、広島商の3番水岡嶺(3年)の打球を顔面に受け、病院へ搬送された。飛びすぎる金属バットの弊害が浮き彫りにされた形だ。

 9月に韓国プサン近郊のキジャンで行われたU-18ワールドカップには、奥川、佐々木らが出場した。世界一を期した日本だったが、台湾、韓国、オーストラリアに敗れて5位に終わった。慣れない木製バットに日本選手が適応できなかったことが大きいとされた。

 10月16日、日本高野連の竹中雅彦事務局長が急逝。U-18大会にも同行し、有識者会議のとりまとめも行っていただけに衝撃は大きかった。

 11月、「投手の障害予防に関する有識者会議」が日本高野連に答申を出した。

 その主な内容は
・投手の障害を予防するため3連戦を回避する日程を設定する。
・大会期間中の1週間で1人の投手が投球できる総数を500球以内とする。
・部員のスポーツ障害の有無に関する情報を指導者と選手、部員、保護者と共有するために健康調査票が活用されるよう、加盟校に指導する。

 日本高野連の理事会はこの答申を受け入れた。来春の選抜大会から導入し、3年間を罰則のない試行期間とすることとなった。

(広尾晃 / Koh Hiroo)

RECOMMEND

KEYWORD

CATEGORY