鷹・甲斐が掲げる理想の捕手像 嶋への“弟子入り”を志願した理由とは…
嶋は「練習でも声を出しますし、周りを引きつけるものがある」
ソフトバンクの甲斐拓也捕手が19日、沖縄・金武町でヤクルトに移籍した嶋基宏捕手や楽天の石原彪捕手、後輩の堀内汰門捕手、巨人の小山翔平捕手と行っている自主トレを報道陣に公開した。朝9時から約6時間、ヨガに始まり、下半身強化のメニューやスローイング練習、フリー打撃などでみっちりと汗を流した。
嶋には昨年から“弟子入り”。「捕手としてだけじゃなく、バッティングだったり、野球以外の部分、全てに関して学びたいと思ってお願いさせてもらって、一緒に時間を過ごさせてもらっています」。捕手だけでなく、選手として、人として成長するために願い出て実現した自主トレは今年が2年目に。寝る時以外は、ほぼ時間を共にして、その教えを吸収しようとしている。
かつて侍ジャパンの正捕手としてチームをまとめ上げてきた嶋。プロ野球選手会の会長も務めるなど、そのリーダーシップは知られるところだ。そんな嶋の姿に、甲斐も理想の捕手像を重ねる。
「引っ張っていかないといけないと思います。たくさん先輩たちに支えられて、先輩たちに引っ張ってもらって、リードしてもらっている。投手だけじゃなく、野手でも先輩たちがいて、やってこられている部分がある。僕もそっち側にいかないといけない。先輩後輩関係なく引っ張っていけるようにならないといけない」
「嶋さんを見ていたら、そういうのが出来る人だな、と。練習でも声を出しますし、今日も練習していても周りを引きつけるものがある。自然とこっちも笑顔になって、付いていこうと気持ちになる。僕もそういう風になりたいと思いますし、ならないといけない。そのためにこの自主トレをお願いしましたし、何か支えられる選手になりたいと思う」
この日の自主トレでも、メンバー最年長の嶋が積極的に声を出し、場の雰囲気を盛り上げた。その都度、その都度、発せられる言葉がウィットに富み、そしてユーモアが溢れる。自然とメンバーには笑いが起き、厳しいながらも明るい空気で練習が進んでいた。周りを引きつけ、そして引っ張れる捕手。そのイロハを学ぶことも、甲斐が嶋に”弟子入り”した理由の1つだった。
「會澤さんがプレミアで出て見て学ぶこともたくさんありましたし、凄いなというだけでなく、悔しい思いももちろんあったので、會澤さんに負けないようなキャッチャーになりたいと強く思いましたね」。昨年のプレミア12で、主にスタメンマスクを被ったのは広島の會澤。甲斐の胸の内には悔しさが残っていたという。
東京五輪、そしてチームの3年ぶりのリーグ優勝、4年連続の日本一がかかる2020年。「今までになくいい状態で来られている」と、ここまでの仕上がりに甲斐は手応えを口にする。理想の捕手へと近づくため、甲斐は体も、頭も、そして心も鍛えている。
(福谷佑介 / Yusuke Fukutani)