「諦めずにいれば奇跡は起こる」 西岡剛が2020年も独立リーグからNPBを目指すワケ
栃木で知った現実社会「これまで経験できなかった経験をできていることが、すごく楽しいんです」
NPB復帰を諦めずに、2019年はBCリーグの栃木ゴールデンブレーブスに入団。1年を通じて59試合に出場し、打率.335、7本塁打、41打点と打線を牽引し、チーム初のリーグ優勝に貢献した。ただ、シーズン中にNPB球団から声が掛かることはなく、シーズン終了後のトライアウトでも結果は残せず。そのまま球界から身を引く決断をする人は多いだろうが、西岡は挑戦し続ける。
「NPBを戦力外になって、独立リーグに行って、それでもNPB復帰を果たせなかった。これって、世間的な見方をすれば、僕の人生のグラフはすごく下降しているように見えると思うんです。でも、僕は今の方が幸せだったり達成感だったりを多く感じられるようになっている。だから、僕にとってグラフは上向きなんですよ」
昨シーズンを過ごした栃木で、西岡はそれまでにない新しい発見の日々を過ごした。西岡曰く、NPBは「非現実的な世界」で、独立リーグは「現実的な世界」だという。
「高校からNPBという非現実的な世界に入って、飲み物は用意されている、ケータリングもある、スポーツ用品は全部もらえる、という状況にあった。でも、そんなの普通はあり得ないですよね。僕はずっとそこで生きて、メジャーまで行ってしまった。それが当たり前だと思っていたんです。でも、NPBを離れて、それが当たり前じゃないことに気付くんですよね。
プロでも社会人から入った人は、昼間は仕事をして、終わった後に野球をする生活で、現実社会を知っている。だから、すごく考えた生き方をできている人が多いと思うんです。それに対して、高校を卒業していきなり非現実的な世界に入ると、僕みたいにそれが当たり前ではないことに気付かない人は多い。それを何歳で気付けるか。僕は今、これまで経験できなかった経験をできていることが、すごく楽しいんです」
幼い頃から野球漬けの毎日。大阪桐蔭高では寮に入っていたため、今までアルバイトをした経験もない。「アルバイトをしてみてもいいと思うんですよね。体験して気付くことはあると思うので」と、今だからこそできることに、いろいろチャレンジする心構えだ。