「諦めずにいれば奇跡は起こる」 西岡剛が2020年も独立リーグからNPBを目指すワケ
地元の温泉から広がった仲間の輪「みんな70歳オーバーなんですけど(笑)」
昨シーズン中に夫婦で暮らした栃木は、当初「誰も友達がいなかった」。不安がなかったと言えば嘘になるが、「初めての土地に行くんだから、お世話になることの方が多い」と、自ら地元のコミュニティーに飛び込むことに。体のケアを兼ねて、小山市内にある思川温泉に通い始めると、両親と同年代ほどの人生の大先輩たちとの交流の輪が広がった。
「みんな70歳オーバーなんですけど(笑)、人と人として接してくれて、めちゃくちゃ勉強になった1年でした。例えば『栃木に来てから、たまになんで今、自分がここにいるんだろうって考えることがあります』って話をすると、『めちゃくちゃ幸せなことでしょ』ってシンプルに言葉を返してくれるんです。『西岡君なら大丈夫。人生について先を心配するんじゃなくて、今を楽しめばいいじゃない。年取ったら何もできないんだから、今できることをやりなさい』って。こういう言葉にすごく助けられましたね。リーグ優勝した時には、温泉の仲間の方がみんなで祝勝会をしてくれて、本当にうれしかったです」
1月22日現在、2020年の所属チームは決まっていない。幸いにも複数球団からオファーを受け、熟考を重ねているところだ。それでも独立リーグからNPBを目指すというゴールをぶらさずにいられるのは、「今できることをやりなさい」という人生の先輩たちの言葉が背中を押してくれているからかもしれない。
「ただ単に野球を続けたいんだったら草野球でもいいと思うんです。でも、独立リーグはNPBを目指す場所。そこでプレーするのであれば、必ず僕もNPBを目指す選手であらねばならないし、NPB経験者として模範にならないといけない。そこに身を置けるということは、僕にとってすごくプラスな経験になります。NPBに帰れる自信? 帰れる自信というより、そこに向かってただ突き進むだけです!」
2020年、西岡剛はNPB復帰の目標を達成するのか、そして人間的にどんな成長を遂げるのか、その姿を見守っていこう。
(佐藤直子 / Naoko Sato)