40歳ヤクルト五十嵐亮太が挑む新たな一歩 「ある程度リスクを背負いながらも…」

ソフトバンクで感じるプレッシャーと、一味違うヤクルトで感じるプレッシャー

 米球界でプレーするなど豊富な経験を持つ右腕でも、もちろん新たな一歩を踏み出すためには勇気がいる。だが、それに勝るのが打者を抑えたい、アウトに仕留めたいという気持ちの強さだ。

「プレートを踏む位置が変われば、マウンドから見える景色は違う。もちろん、自分も嫌な感じはするけれど、その分、バッターも『あれ?』と思うはず。自分に多少のリスクはあっても、打者が嫌がることはやっていきたいです」

 今季からは投手キャプテンを拝命。「俺についてこい」と声に出して率いるタイプではないが、日々の練習やトレーニングで手を抜かず、野球と真摯に向き合う姿勢に刺激を受ける若手は多いはずだ。シーズンに入ってからは「石山(泰稚)であったり、中継ぎのピッチャーがいる中で、なるべく彼らの負担を減らせられる、そんな役回りでいけたらいい」と話す。

 米球界、ソフトバンクを経て、古巣ヤクルトに戻って2シーズン目を迎える。投手層の厚いソフトバンクでは若い選手が「どんどん出てくるプレッシャー」を感じていたが、昨季は故障が多かったヤクルトでは「本当に辛い状態でも2軍に落とされず、現状で何とか乗り切らないといけないプレッシャー」を感じることがあったという。それまでと違った種類のプレッシャーの中で感じたのが、対応力の重要性だ。

「状況によっては、6回、7回、8回、もしかしたら9回を任されることもあるかもしれない。自分の中ではある程度、幅広く対応できるようにしていたいと思います。もちろん9回を投げられる準備をしておけば、何の問題もなく他の回も対応できる。開幕まで焦りを感じないわけではないけれど、飛ばしすぎず、ペースを守ってやっていきたいと思います」

 2020年、マウンドに上がった五十嵐が打者とどんな駆け引きを繰り広げるのか。新たな一歩を踏み出した右腕の挑戦を見届けたい。

(佐藤直子 / Naoko Sato)

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