元ロッテ・ボルシンガー「だから僕は訴える」 アストロズ訴訟経緯を米紙に寄稿

2017年にはブルージェイズでプレーしたマイク・ボルシンガー【写真:Getty Images】
2017年にはブルージェイズでプレーしたマイク・ボルシンガー【写真:Getty Images】

「サイン盗みとそれによって僕の家族が受けた被害については我慢できない」

 ボルシンガーはその後40人枠を外れ、翌年には日本行を決意した。「僕の人生は全く変わってしまった。家族を養うお金を稼ぐため、日本でプレーした。妻は妊娠していたから、友人も家族もいない国に引っ越すことは理想的ではなかったけど、それが唯一の選択肢だった」と悲痛な胸の内を明かしている。

 昨年になってサイン盗み疑惑が浮上し、今年に入りMLBの調査結果が報じられると、ボルシンガーは更に苦しんだ。

「そのニュースは受け入れがたかった。ショックで腹が立った。アストロズは投手としての将来を決める機会を僕から奪った。能力不足で失敗したのであれば、僕の責任だ。それは受け入れられる。だけど、サイン盗みとそれによって僕の家族が受けた被害については我慢できない」

 クレイン氏は会見で、「試合には影響がなかった」と発言をしたが、「僕はアストロズがサイン盗みで大きな恩恵を受け、責任を果たす必要があると思っている」とボルシンガーは主張。自身への損害賠償ではなく、寄付という形でワールドシリーズ制覇のボーナス3100万ドル(約34億円)を返上することを要望している。「野球は大きな岐路に立っている。このスキャンダルへの対応の仕方が、この先の球界の信頼性と存在を定義することになる」と綴った。

「最も才能のある投手でなかったことは、僕が一番分かっている。だけど、野球が好きで、2010年にアリゾナ・ダイヤモンドバックスからドラフト指名を受けた後、努力を続ければ、マイナーの階段を上り、メジャーリーグでプレーできるかもしれないと信じていた」

 ボルシンガーはロッテで2年間プレーし、2018年には20試合で13勝2敗、防御率3.06と活躍した。もしあのサイン盗みがなかったら……本人のみならず、周囲の誰もが考えたに違いない。この訴訟はどのような形で決着するのだろうか。

(Full-Count編集部)

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