ハム投手コーチが注視する“60試合トリオ”の落とし穴 「いかにレールを敷いて…」
玉井、公文は「セットアッパーやクローザーと同じくらい大事」石川直は守護神志願
日本ハムのリリーフ投手陣が順調なキャンプを送っている。昨季チームトップの65試合に登板した玉井大翔投手、61試合の公文克彦投手、60試合の石川直也投手の“60試合トリオ“も、昨季の疲労を感じさせない投球を見せている。
強気な内角攻めで昨季チームのピンチを何度も救った玉井は、11日の阪神との練習試合では1回2安打2失点としたものの、15日の紅白戦は1回を打者3人で片付けた。「ボール自体は全然悪くないですし、思ったような感じで投げれてはいるので、疲れ自体は感じてはいないです」と玉井はサラリと言う。昨季修羅場をくぐり抜けたことで大きく成長した玉井。厚沢和幸ベンチコーチ兼投手コーチは「ボールを維持しているし、自信が感じられ、ひと皮向けた感じ」と4年目右腕を頼もしげに見つめる。
プロ8年目を迎えるリリーフ左腕の公文は、11日の阪神戦、15日の紅白戦とも1イニングを無失点に抑えた。例年、開幕直後は調子が上がらず苦しんでいるだけに、今年のキャンプはブルペン入りを例年よりも多めにして開幕を見据える。「いつも万全で入れていないので、少しは近づけるように。中継ぎをやっている以上、勝ちパターンで投げたいです」と意気込む。厚沢コーチは「毎年出来が早い方ではないが、体が出来たら準備できるタイプ。毎年50試合投げているので心配していない。ただ、宮西や秋吉のポジションを狙うには早い段階から信頼を得る投球をしてほしい」と注文を付ける。
注文は期待の裏返しだ。「開幕から万全で入ってほしい。2人のポジションは、セットアッパーやクローザーと同じくらい大事だと思っている」と厚沢コーチは玉井と公文への期待の大きさを口にした。
クローザーを狙う6年目の石川直も万全で開幕を迎えようと調整を進めている。例年、開幕直後は全力で投げようという気持ちが強過ぎたことから思ったようなボールを投げられなかった。「後半になるにつれて力が抜けて、いい球が投げられている試合が多かった」と昨季後半の好感触を求め、上半身ではなく下半身主導のフォームを意識。オフの遠投で「感覚はだいぶつかめているのかと思います」と手応えを感じている。
昨季は3人ともキャリアハイの登板数を記録した。心配された疲労の影響は今のところ見受けられない。厚沢コーチは言う。「疲労感からの落とし穴よりも、充実感から入っての落とし穴の方があるかもしれない。『あれっ?去年とちょっと違う』という部分で、実際はそんなに悪くないのに、落とし穴にはまる可能性はある。そこは我々がいかにレールを敷いてあげられるかだと思う」。コーチ陣のサポートを受けながら“60試合トリオ”は今季もチームのために投げまくる。
(石川加奈子 / Kanako Ishikawa)