ハイピッチの西武松坂、慎重に歩を進めるロッテ佐々木朗 “両怪物”の現在地は
佐々木朗は約15メートルの距離で初めて捕手を座らせて投球
一方の佐々木朗は、慎重の上にも慎重を期した調整ぶりだ。この日はキャンプイン以降、5度目のブルペン入りで、初めて捕手を座らせたが、並みいる報道陣は立ち入り禁止。ブルペンが手狭なこともあったが、吉井投手コーチは練習試合終了後、「皆さん(報道陣)には迷惑をかけたが、練習のレベルを1つ上げたので集中させたかった」と意図を明かした。
しかも、捕手が座ったのはホームベース上で、正規の距離より短かった。本来、ホームベースの五角形の先端から投手板の縁までは18.44メートルと定められているが、吉井コーチは「今日は15メートルくらいじゃないかな。とにかく気持ちよく投げてもらうことが目的。距離が短い方が、ストライクを取るのが簡単ですから」と説明した。「距離が短いので、あれはピッチングではありません」と、細かく刻む調整法だ。
開幕に間に合わせるつもりは毛頭なく、5月26日に始まる交流戦で1軍デビューできれば御の字、といったムードである。
それでも、超人的な球威はキャッチボール程度でも周囲を驚かせている。190センチ、85キロの体は、テレビなどで見るより骨太の印象を与え、平均的な高卒ルーキーのそれではない。
「あれなら、甲子園でバンバン投げても壊れることはなかったんじゃないの?」と関係者は首をひねることしきり。辛口で鳴る野球評論家の張本勲氏も、23日に日出演したTBS系テレビ番組「サンデーモーニング」で、これまで見てきた高卒ルーキーで「速さなら尾崎(行雄=浪商→東映)、2番目に佐々木を挙げます。163キロと言ってるけど、下半身鍛えたらもっと出ますよ。3番目が大谷。4番目が松坂」と高く評価した。
2人の怪物が投げ合うシーンは、いつ実現するのか。そして、松坂が貫録を見せるのが先が、それとも佐々木朗が一気に世代交代を印象づけるのだろうか。
(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)