西武松坂は「マウンド上でオーラがあった」 先制2ランの昨季韓国シリーズMVPが語る
斗山ベアーズの呉在一は昨季韓国プロ野球で21本塁打&102打点をマークした
西武に14年ぶりに復帰した松坂大輔投手が25日の韓国プロ野球・斗山との練習試合(サンマリン宮崎)に先発。中日在籍時の昨年8月14日、2軍ソフトバンク戦以来195日ぶりの実戦登板を果たしたが、2ラン1発を被弾するなど1回3安打2失点だった。本塁打を浴びせたのは33歳の左打ちの3番打者、呉在一(オ・ジェイル)一塁手だった。
1死三塁の場面で、松坂が投じた初球の139キロのストレートが真ん中に入ると、呉は逃さず右翼席中段へ運んだ。呉は試合後、Full-countの取材に「本塁打は運が良かった」と謙遜しつつ、「松坂は世界的に有名で、野球ファンなら誰もが知っているでしょう。今日先発と聞いて、チームみんなでビックリした。マウンド上でオーラがあった。やはり世界レベルの選手です」と語った。
一方、松坂は「(2ランは)打たれた瞬間に行ったと分かったし『そりゃそうだよな』という感じ。悪いボールがそのままの結果になった。あのボールが打たれるはずがないという中で打たれたわけではない。この時期だから、という感じですかね」とサバサバ。「(公式戦では)たぶん、ああいう外し方(コントロールミス)はしないと思う」と強調したのは、日米通算170勝右腕のプライドだろうか。西口投手コーチも「ちょっと球が高かったが、球速はそれなりに出ていたし、いい緊張感の下で投げられたんじゃないか。次の登板では球数、イニングを伸ばしていきたい」と前向きに評した。
ただ、球を受けた森友哉捕手が「1つ1つの球種は全てよかった。強いていえば、少し高かった」とした上で、「真っすぐでガンガン押していくタイプではない。いろいろ大変だとは思いますけど、きれいにアウトを取ろうとせず、貪欲にいけたら」と語ったように、剛速球で鳴らした若い頃とは違う、厳しい現実もある。
斗山は昨年、韓国プロ野球で公式戦1位となり、プレーオフの韓国シリーズでもキウム・ヒーローズ(公式戦3位)を4勝0敗で一蹴して3年ぶり6度目の優勝を果たした。呉は公式戦で打率.293、21本塁打、102打点をマークし、韓国シリーズではMVPに輝いた。
球団関係者は「斗山の本拠地の蚕室(チャムシル)総合運動場野球場は、両翼100メートル、中堅125メートルと広く、本塁打が出にくい球場として有名です。呉が他球団にいたら30~40本塁打を量産したのではないかといわれています」と説明するほどだから、“慣らし運転”段階の松坂が打たれるのも無理はないか。結局、斗山はこの試合で14安打8点を奪い、12安打7点の西武に打ち勝った。
この1発が、国際大会の経験豊富な松坂の闘争本能に火を付け、公式戦へ向けてギアチェンジするきっかけとなれば何よりだ。
(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)