プロ22年目 阪神・福留を突き動かす負けず嫌いの虫 「まだまだでしょうね」

気持ちで乗り切れない現実を前に「本当にずっと矛盾したことやってる(笑)」

 経験を重ねてできるようになったこともあれば、若い時にできていたことができなくなったこともある。22年という月日を意識しないつもりではいるが、向き合わなければならない現実もある。気持ちだけでは乗り切れない現実を意識し始めたのは「38、39(歳)くらいかな?」。怪我からの復帰に時間がかかるようになり、その時間が惜しくなってきた。

「若いヤツに負けたくない気持ちでやるのと反対に、自分の年齢も認めなきゃいけない面もある。そこは心の中で『あ゛ぁ~』って思いながらね(笑)。葛藤があるか? もちろん、もちろん。意外とこういうのって処理するのが難しかったりするんですよ。無意識に体がバッと動きそうなところも、意識して『いや我慢……』って思わなきゃいけないし。頭ではいきたがるけど、体のことも考えないと。本当にずっと矛盾したことやってる(笑)」

 笑いながらこう言えるのも、心の中の葛藤を大きく凌ぐ自信があるから、そして子どもの頃から棲み続ける“負けず嫌いの虫”が、今なお健在だからだろう。

「僕は自分が辞めるまで『若い世代からの怖さは感じない』って言うと思いますよ。まだまだでしょうね。僕はうちの選手たちが持っているポテンシャルを見ると、もっとできると思っている。もっともっと失敗しながら、いろんなことをやればいいなって思うけど。『上に行かれたな』と思った時はユニホームを脱ぎます。ユニホームを脱ぐまではそう思わないでしょうし、思っていても『思わない』って言うと思います(笑)」

 若い世代に負ける気はしないが、成長の手助けは惜しまない。春キャンプではフリー打撃で投手役を務め、「彼らの助けになればいい」と高山俊、大山悠輔、北條史也ら若手野手を相手に投げ込んだ。

「この年齢になると個人成績がどうだということはない。この年齢でも野球をやらせてもらって、このチームにいさせてもらっている。そう考えると、やっぱりチームが勝つために何をしなければいけないか。もちろん、自分のパフォーマンスを上げることも大切だけど、プラスαで一緒にできることを考えてやっている感じかな」

 NPB通算2000安打(残り103安打)という記録を前にしても、「個人的なことはどうのって、本当にほとんどない。やっぱりチームが勝ってなんぼ」。狙うは「優勝」の二文字だけだ。

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