元レイズ岩村明憲氏が筒香嘉智に伝えたい三塁守備の“極意” 「大事なのは距離感」【後編】

BCリーグ「福島レッドホープス」代表取締役兼監督の岩村明憲氏【写真:木崎英夫】
BCリーグ「福島レッドホープス」代表取締役兼監督の岩村明憲氏【写真:木崎英夫】

岩村氏が2008年を振り返る「ああいう経験ができたことは嬉しい」

――岩村さんもキャンプでは最初は苦労されたが、開幕にはバシッて合わせて

「まあ、ホッとしてたのは僕ですけどね(笑)」

――キャンプ終盤の調整はどのように

「監督もバッティングコーチもみんなが、アキのとにかくパフォーマンスを発揮するために自分がやりたい練習を教えてくれと。やりたい練習をどんどん手伝うからって言ってくれたことが、僕からしたら申し訳ないなと思いました。それは結果が出ていないから、そうやって言われるんだな? ちょっと気を使わせたな? というのがありました。だから、試合が終わってからでも打撃ケージに行って、通訳に投げてもらったりとか、他のスタッフにも投げてもらったりとかして、バッティング練習をこういう風に日本でやってたことをやりたいっていうことはありましたね。そういうことがあったから多分、開幕には合ったと思うんですけれども。ただ開幕もね、3打席目にヒットを打ったんですけど、3打席目っていうよりも、ヒット1本出るまでは、やっぱりどの選手も不安だと思います。あれが開幕戦に打てたというのは大きなポイントだったですね。それを引きずらなくってよかったので」

――筒香選手がレイズに入ると決まった時は?

「まさかと思いましたけどね。フロリダは田舎ですけど住めば都で、すごく良いところというのは、みんな知っているでしょうけど。ただ、多分レイズのスタッフもこれだけ日本メディアが来るのは、ゴジラ(松井秀喜)以来。2012年以来ですよね。久しぶりだから嬉しいんじゃないでしょうか。レイズとして日本選手が1人加入するだけでこれだけチーム名を言ってくれるというのは、嬉しいんじゃないですかね。本当にここに入ると思っていませんでしたけど、正直ね」

――日本人スラッガーが続いている。岩村さん松井さんから筒香さんへと

「本当に小規模の中でやりくりをしようとしているチームが、筒香くんに対してあれだけの金額を出すというのは、かなり期待があるので。よそのチームで20億円出すのと同じくらいの価値がここではあると思います。そういう部分は、多分筒香くんもやっているうちに分かってくる。メジャーリーガーになって、他のチーム事情も頭に入ってくるので。そういうことが、あの時こうだったんだっていうのは多分あると思いますけどね。そうしたらもっと粋に感じて。男だから粋に感じれば、もっとやりがいがね、もっとやってくれると思いますけど」

――オーナーが、2008年のリーグ優勝を決める試合で岩村さんが最後にゴロをさばいて。あの瞬間が最高だと、ある意味ではチームのレジェンドだと思いますが

「あのシーンがあったからこそ、ワールドシリーズもあったし。本当幸せだなと思うのは、ワールドシリーズの経験できたし、『ゲーム7』っていうのもね。負けたら終わりっていうところを経験できたのも大きいですね。プロ野球で、負けたら終わりってないでしょ。トーナメントがないから、負けても明日勝てばいいやとか取り返せばいいっていうのが結構口癖になるんですけど。本当に負けられないという『ゲーム7』はそうない。少ないのかな。だからああいう経験ができたことは、嬉しい。でも、ワールドシリーズは負けているので。筒香くんがここにいる間にね、今はプレーオフに行けそうなとこにはいると思うので。投打が噛み合えば、そこに行ってチャンピオンになって、ワールドシリーズに行って。そこでも勝てれば、一番すごい綺麗な筋書きになると思いますけどね。頑張って欲しいですね」

(木崎英夫 / Hideo Kizaki)

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