渡米した前主将に誓う思い「必ず強くなる」 今永昇太が思い描く新しい形のDeNA

DeNA・今永昇太【写真:津高良和】
DeNA・今永昇太【写真:津高良和】

主将にして主砲の穴埋めではなく「まずは地に足を着けて自分のやるべきことをやる」

 毎年恒例、キャンプインを迎える2月1日。DeNAの1軍キャンプ地、沖縄県宜野湾は、これまでと少し風景が違った。昨年まであった筒香嘉智の姿がない。主将にして主砲だったチームの顔は、子どもの頃からの夢を追うため、戦いの場を日本から米国に移した。

 戦力としてはもちろん、精神的支柱としても、筒香の存在は大きかった。周囲は否が応でも「筒香のいなくなったDeNA」と見るだろう。抜けた穴をどう埋めるのか。簡単なことではないが、昨シーズンの勝ち頭、左腕・今永昇太は前を向く。

「今シーズンはきっと、筒香キャプテンという存在がどれだけ心の拠り所であったか、僕らが気付かないうちにどれだけ多くの作業をこなしていたのか、そういうことに気付くと思います。そこでみんな『チームのために……!』と思うと思うんですけど、僕はそうじゃなくていいかなと。一人一人が自分のすべきことをしっかりやって、その後でチームのことを考えればいいと思うんです。結果的にチームの勝利に繋がるのであれば、自分のことを最優先しても、チームのことを最優先してもいい。誰一人それることなくチームの勝利に向かっていくことが大切なんじゃないかと。あれだけ大きな人が抜けて、みんな『カバーしよう』という意識があると思うんですけど、まずは地に足を着けて自分のやるべきことをやる。それがチームの歯車を動かす。僕はそういう考え方でいます」

 筒香が目指したのは、風通しのいいチーム作り。野球を好きだという気持ちを忘れずに勝負を楽しもうという、明るく前向きなチームの雰囲気は「継承されているなと感じます」という。同時に、気遣いの人だったことを改めて感じる瞬間もある。

「ルーキーたちに対して必ず、冗談交じりにでも声を掛けていましたし、裏方さんやメディアの皆さんを気遣い、僕らの知らないところ、見えないところでチームの歯車に潤滑油を差してくれていた。自分がそれを任されたとしたら、本当に本当に大変なことであることは事実ですね」

「佐野が行き詰まった時、動けなくなった時に、初めて悩みを聞いてやればいい」

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