高卒、大卒、社会人卒…大成した選手が多いのは? ベストナイン、GG賞から紐解く

5年続けてタイトルを受賞し続けた選手も複数存在

 ここからは、ベストナインの項目と同様に、重複した選手を除いて算出した数についても同様に紹介していきたい。

高卒:12人
大卒:9人
社会人卒:3人
外国籍選手:1人

 高卒の選手の中にも、甲斐、中田、今宮、西川(各3回)、涌井(2回)と複数回選出されている選手は多くいたが、大卒の選手では松田、秋山と、5年間すべてでタイトルを獲得した選手が複数存在。複数回受賞者は柳田(3回)も含めた3人のみだが、合計9人と一極集中というわけでもないのが面白いところだ。

 また、指名打者部門が存在しない分だけそもそもの人数が5人減っているとはいえ、受賞した選手の数自体もベストナインに比べてやや少なくなっている。先述の通り、三塁手部門では松田が、外野手部門で秋山がそれぞれ5年間全てで受賞。また、遊撃手部門は今宮と源田の2人だけで賞を分け合っていた。総数が少ないのは、そういった「独占状態」が生まれやすい面も影響していそうだ。

 しかし、5年間全てで受賞者が異なった二塁手部門に象徴される通り、1回のみの受賞だった選手は高卒が7人、大卒が6人、社会人が2人、外国籍選手が1人と、ポジションによっては頻繁に入れ替わりが起こっていたこともわかる。年齢を重ねるとフットワークや肩の力が否応なしに落ちてくる上に、故障で長期離脱した場合も受賞は極めて難しくなる。入れ替わりが多くなるのも当然であると同時に、連続受賞している選手のすごみも感じられる。

 以上のように、ベストナインは高卒の選手が半数以上を占めており、ゴールデングラブ賞では高卒と大卒の選手が拮抗しているという結果になった。打撃面では高卒の選手のほうがやや大成する可能性が高い一方で、守備に目を向けると、やはり着実に実力をつけた大卒の選手が受賞するケースも多いながらも、アマチュアでの経験がプロでも生かされるケースもより増えてくると言えるだろうか。

 即戦力としての働きが求められる社会人卒の選手はやや苦しい結果となったが、源田のように、プロ初年度から卓越した守備力を発揮してチームに欠かせない存在となった選手もいる。また、長年悩まされた故障を克服し、プロ10年目でそれぞれ初のベストナインとゴールデングラブ賞を獲得した荻野貴のように、プロに入ってからさらなる進化を見せた選手も、少なからず存在しているのは間違いないところだ。

 今後もリーグ屈指の選手と呼ばれる野手たちの大半は、高卒からたたき上げの選手たちが占めていくのか。それとも、大卒や社会人卒の選手が、アマチュアでの経験を生かしてプロでも着実に実績を残していくか。打撃と守備の双方で傾向の違いがみられる点も含めて、プロ入りして間もない期待の選手たちの今後に注目してみたり、各球団のドラフト戦略とその狙いについて考えてみるのも面白い。

(「パ・リーグ インサイト」望月遼太)

(記事提供:パ・リーグ インサイト

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