竜の守護神の座は“一騎打ち” 無欲な岡田と貪欲の藤嶋、血行障害克服した対照的な2人

阿波野コーチは結果ではなく「内容で判断」

 ただ、最終回への思いは対照的だ。昨季後半にクローザーを担い、13セーブを挙げた岡田は、9回のマウンドに対して「まだちゃんと理解できていない。それを今年理解できるのかもしれませんが」と頭を掻く。語るより着実な結果で信頼を勝ち取っていくのが左腕のスタイル。「まずは開幕1軍にしっかり入って、チームの戦力になること。それ以上でも以下でもありません。その先に守護神というものがあればいいと思っているくらいです」。あくまで無欲を貫く。

 一方の藤嶋は有言実行タイプ。「狙える立場にいることはありがたいですし、当然やりたい気持ちはあります」。尊敬してやまない元巨人の上原浩治氏のようにマウンドでも気迫を前面に出していく右腕は昨季、21試合連続無失点も記録。「もし9回に投げさせてもらえるなら、上原さんの曲を使わせてもらいたいですね」。憧れの存在の登場曲だった「Sandstorm」を聴きながらマウンドへ。貪欲にその座をうかがっている。

 そんな2人には、奇しくも「苦難」の共通点がある。岡田は17年6月に、藤嶋は19年1月に、手の血行障害を改善させる手術を受けた。「状態はいいですよ。ずっと付き合っていかなきゃいけないものですが、自分の中では治ったと言い聞かせてます!」と岡田の表情は明るい。最低限のケアはするが、あえて気にしないようにしている。それでも気候条件などで万全とはいかない日もあり、2人でよく状態の確認をするという。「今日どう?って感じで」と藤嶋。2人だから分かる感覚でもある。

 新型コロナウイルスの感染拡大の影響で不透明感はあるものの、変更がなければ20日の開幕まで3週間を切った。守護神指名に欠かせない条件として、阿波野秀幸投手コーチは「しっかりカウントをとって、ウイニングボールで仕留められるか。自分が意図した展開になっているかが大事」とポイントを語る。ゼロを続けることよりも「内容で判断する」。シーズンを任さられるほどの抑え方ができるか。岡田と藤嶋は、それぞれのやり方で信頼を勝ち取っていく。

(小西亮 / Ryo Konishi)

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