【記者の目】MLB開幕遅れでエンゼルスと大谷はどうなる? キャンプを総括
オープン戦打率は1割台で本塁打ゼロでも心配はいらない
気になるバッティングの方は……というと、オープン戦では本塁打もなく、9試合に出場して、19打数2安打1打点の打率.105だった。ここには全く心配する必要はないと見る。試行錯誤しているのが、取り組みからも見て取れるからだ。シーズン中だって波があり、少ない時間の中でアジャストしてきた。その波にしっかりと対応できるよう「フォームをしっかり確立したい」と大谷自身も話しており、その時間にこのオープン戦を充てている。ヒットが出なかったり、三振が多かったりしているが、そこは心配は無いのかなと思っている。
2年前もオープン戦で1割台で開幕を迎えていた。なかなか打てなくて、日本のメディアもファンも“これは難しいのかな”なんて心配する声もあった。しかし、監督やコーチも取材を受けるたびに“黙れ”みたいな雰囲気、顔をするなど、大谷がしっかりと対応するということを強調していた。問題ない、オープン戦でいくら打っても関係ない、と広報やスタッフも雑談レベルでも自信満々に話していたことを思い出す。大谷の場合は、日本ハムの時代も春のキャンプ、オープン戦ではさほど打っていなかったとも聞いた。今キャンプも打率は上がらなかったが、打撃練習でもものすごい打球を飛ばしているし、「今は信じなさい。必ず打つから」と今季から指揮を執るマドン監督も言っていた。
打撃もそういう意味では、一番良いものを見つけるまでは、この期間を有効に使うことができる。開幕が6週間以上伸びるようであれば、より高いレベルでの復活になるだろう。
ただ、キャンプの中止に、開幕延期、世界的に死者や感染者が広まるこの事態は各球団にさまざまな影響が及んでいる。滞在しているアメリカでもマスクや消毒液も「一人一個」と張り紙をされていても陳列されていない状態で虚しく映る。選手、スタッフ、ファンが安全に野球を見られる日が一日でも早く来る日を願っている。
(盆子原浩二 / Koji Bonkobara)