王貞治会長も惚れ込んだ鷹リチャードの成長 父は軍施設勤務、兄はマイナー選手
3月に行われた紅白戦で特大弾を放ち、チームメートも唖然…
最終的にノルマのクリアはならずも、アピールは成功して春季キャンプで主力の集うA組入り。王会長は「こちら(球団側)が引き上げたんじゃない。彼が自分でつかんだんだ」ときっぱり口にしていた。オープン戦フル帯同も果たし、2月23日のバファローズ戦(SOKKEN)では左翼席の奥にある林に打ち込む特大本塁打を放った。
また、3月に行われた紅白戦では本拠地PayPayドームのバックスクリーンに飛び込む特大アーチを架け、チームメイトを「すごい……!」と唖然とさせた。3月15日の広島戦(マツダスタジアム)ではドラフト1位右腕の森下暢仁投手の147キロ低め直球を左中間席まで運んでみせた。
「去年と今年のホームランは違います。去年は3軍ですが、10本以上打ちました。ただ、バットの芯でしっかり打てたのは確か2本だけ。あとは詰まったり、先っぽだったり。だけど、今年は芯でとらえてホームランを打てています。7、8割の力で振っているのがいい」
全力フルスイングの結果、とてつもない飛距離をマークしたこともある。昨年はタマスタ筑後のバックスクリーンを越えたし、高校時代も名護球場のレフト場外へ一発を放ち、その白球は海まで届いたという。
「でも、思いっきり振っても確率が上がらない。ファウルになってしまう。“グァン”じゃなく、“シュパーン”が理想です(笑)」
新しい背番号は52に決まった。ホークスでは川崎宗則氏が長く背負っていた。新しい「52番像」を印象づける規格外のアーチを何本も描き、これから日本中の野球ファンを驚かせるに違いない。リチャードは鷹のロマン砲だ。
(「パ・リーグ インサイト」田尻耕太郎)
(記事提供:パ・リーグ インサイト)