西武“山賊打線”の破壊力が落ちぬワケ 若き主砲・山川&森が秘める“伸びしろ”
森が見せた「笑っちゃうくらい見事」なシフト破り、山川の「腕力任せでない」新打法
西武の“山賊打線”は、18年オフにパ・リーグ打点王の浅村栄斗内野手がFAで楽天に流出してもなお、昨季もまたリーグトップのチーム打率と総得点を誇った。そこからまたオフには類まれなチャンスメーカーの秋山翔吾外野手がメジャーリーグに移籍。「さすがに今年はキツイのではないか」との声がある一方で、「なんだかんだ言って、今年もまた秋山の抜けた穴を埋めてしまうだろう」との期待感が漂っているのは、主砲の2人にまだ“伸びしろ”があるからだ。
24歳の3番打者・森友哉捕手と、28歳の4番・山川穂高内野手。本来開幕戦になるはずだった20日の日本ハムとの練習試合(メットライフ)では、森が4打数3安打、山川は3打数3安打3打点(1犠飛)と爆発した。
森は3回の第2打席で、相手の三塁手が三遊間に寄り、遊撃手を含む3人で一、二塁間を守る極端なシフトを敷いたのを見て、その逆を突き、有原の内角スライダーを強引に三塁線に運んでヒット(左前打)を稼いだ。「去年(のシーズン中)も何回か狙ったろうかと思って、やってみたけれど、できなかった」そうで、「困った時にああやって逆方向におっつけたり、普段やらないことを試合の中でやっていくことで、自分の引き出しは必然的に増える」とうなずいた。「今日開幕で、いいんじゃないかな?」と笑わせるほどの盤石ぶり。昨季打率.329で首位打者を獲得した若武者は、さらに進化を遂げている。
一方、「あの森の打撃はすごかった。あまりに見事で、笑っちゃったっす」と脱帽してみせた山川も、2年連続40発以上での本塁打王獲得に満足せず、キャンプ前の自主トレの段階から「腕力任せではない、シンプルな打撃」に改造中だ。これが身に付けば「本塁打も、打率も、打点もアップする可能性が高い」と踏んでおり、今のところ「やりたいことはできている」と手応え十分。「『本当は今日が開幕だったんだよなぁ』と思いながら試合に入りました」と言い、「一昨日と昨日、思い切り部屋の掃除をしました。妻に『何してるの?』と聞かれて、『ホントだったら20日が開幕だからさ』って……」と明かした。
辻監督からは「山川は、今年あいつが求めている、シンプルな対応ができている。見事だと思う。森も素晴らしい」と、ほめ言葉しか出てこない。2人がつかみつつある打撃は、開幕が延期されたくらいで揺らぐものではなさそうだ。