野村克也氏が漏らした「巨人の監督をやってみたかった」元参謀が解く本音と真意

原監督に戦略的な部分で策を進言も「橋上、ここはジャイアンツなんだ」

 野村氏は着ることがなかった巨人のユニホーム。橋上氏はリーグ優勝を逃した巨人から2011年オフにオファーを受けた。原辰徳監督のもと、常勝軍団でコーチを務めることになった。橋上氏と時を同じくして、村田修一、杉内俊哉をFAで獲得するなどチームは選手を補強。2012年に3年ぶりのリーグ優勝と日本一に輝いた。2014年まで3年、在籍したが、その間に巨人はリーグ3連覇を果たした。

 巨人のユニホームの重みを感じた3年間でもあった。整った戦力の中で、負けることが許されない雰囲気を味わい、勝ち方にもこだわりがあることを感じた。橋上氏は野村監督と原監督の下で戦った経験をこのように振り返る。

「野村さんは極端に言うと、勝つことが最優先。あの手この手を使ってでも勝てばいいんだという考え方。原さんは同じ勝つことが目標ですが『ジャイアンツなんだから、横綱相撲で勝たないといけない』と言っていました」

 巨人時代、戦略的な部分で策を進言したところ「橋上、ここはジャイアンツなんだ」と諭されたことがあったという。

「言い方が悪いかもしれませんが、私が提示した“姑息なこと”をしてまで、勝ってはいけないという考えを持っておられたのだと思います。『ファンを失望させるような勝ち方はしたくない』とも言っていました」

 この常勝軍団の考え方は「野村さんには通用しない」と橋上氏は断言する。しっかりと相手を寄り切るのが原監督ならば、野村監督は勝てない相手には四つで組むな、という考え方だからだという。

「プロなんだから、勝てばいいんだというのが野村さんの考え。そこをちょっと考えた時、巨人の監督としてどうだったかなと……。原さんみたいな考え方が(巨人の監督を)やる人の考えなんだなと思いました。ただ、お2人ともタイプは違えど、歴史に残る名将であることは間違いない。そんな2人の名将のもとで仕事ができたことは私にとって大きな財産となっています」

ワンポイント継投に、大胆な先発隠し……野村監督は勝つ手段を選ばなかった

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