生イチローに「高揚感で麻痺」 米記者が鮮明に記憶するレジェンドの“粋な計らい”

右翼スタンドに陣取り、イチロー氏が投げたボールをキャッチした

 試合当日、ボー氏は“イチローは1番”と書かれたサインを持参。「私は緊張しながら、試合開始2時間前に入場ゲートを急いでくぐり、右翼につながるコンコースを走った」。イチロー氏は同僚の打撃練習で右翼の守備位置についていた。

「ボールが視界に入るところになくても、彼は動きを決して止めない。ストレッチを行い、体をケアすることで、45歳までプレーすることができた。そして、打撃投手が投球フォームに入ると、イチローは気を引き締め、飛んでくる打球に対して準備万端にしていた」

 イチロー氏がウォーニングゾーンに近づいてきたとき、名前を叫んだという。「彼は他のファンに向かってボールを投げた。しかし、彼は私の薄っぺらいサイン(ボード)を視界に入れた。彼は私の方を指さし、あるメッセージを届けるために言葉は不要だった。『用意しておくんだぞ』と」。

 ボー氏はその瞬間を詳細に伝える。「私は興奮を覚えつつも、怯えていた。へまは絶対にしたくはない気持ちがあったからだ。彼は(打球をキャッチして右翼スタンド方向に)振り返り、事もなげに群集の中の私を見つけた。彼の手から放たれたボールは、導かれるように私の方へと向かってきた」。

「腕をいっぱいに伸ばしたグラブに、ボールが収まると、私を取り巻く世界がゆっくり動いているようだった。高揚感で感覚が麻痺していた。私にできることといったら、振り向いて、滑るボールを掴みながら、母の元へと階段を上っていくだけだった。私の心臓は激しく脈を打っていた」

「イチローだったよ、お母さん」。ボー氏は母にそう伝えたという。

マリナーズからプレゼントが、イチロー氏のサインボールが自宅に届けられる

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