ベンチで応援歌を口ずさんだ甲子園… 中日京田が抱く鳥谷敬への敬愛と忘れられない夜
鳥谷から受けた教え「全てが平均点以上であってこそ、試合に出られる」
「飛び抜けた部分はないが、穴もない。だから試合に出続けられる」。かつて鳥谷が語ったその言葉を知り、京田は自身に落とし込む。「打つ、走る、守る。すべてが平均点以上であってこそ、試合に出られる。僕にはまだ足りない部分がある」。
1年目に新人王を獲得し、3年連続で140試合以上に出場して遊撃のレギュラーにはなった。「守備は自信が出てきました」。果敢な走塁にも磨きをかけている。誰の目から見ても明らかな課題は打撃。昨季、四球数はほぼ倍増して出塁率は改善したものの、打率.249では物足りない。
新たに選手会長になった4年目。京田にとっては意外にも思える数字を目標に掲げる。安打数でも打率でも出塁率でもない。「野球は点取りゲーム。打点にこだわっていきたい」。過去3年で最多は2018年の44打点。「今季は60~70くらいを目指したい」と見据えている。
まだシーズンの幕は開かない。新型コロナウイルス感染拡大が深刻化し、先行きは見通せない。憧れの存在がロッテで現役を続けることになったのに、公式戦で見られない状況ももどかしい。「京田、成長したなって思ってもらえるように」との思いで、今は感染予防を徹底しながら汗を流す。「ずっと気を張り詰めていてもダメ。いい意味でいったん気持ちを切って、また開幕が決まったら集中していきたい」。真価が問われる舞台の到来を、待ち焦がれている。
(小西亮 / Ryo Konishi)