「すべてを考えさせるのは難しい」―元巨人内野手が監督1年目で学んだ指導のバランス
巨人時代は小笠原道大や谷佳知ら名打者たちに囲まれ、打撃技術を学んだ
チームの目標はルートインBCリーグの連覇や、昨年、徳島に敗れた日本独立リーグ・グランドチャンピオンシップで勝利すること。そして、寺内監督自身にはもう1つ、心に秘める思いがある。NPBに栃木から選手を送り込むことだ。昨年はドラフト会議で指名を受ける選手はいなかった。
寺内監督がNPBでプレーしたのは12年。それも常勝軍団で入れ替わりの激しい巨人で戦ってきた経験を踏まえて、独立リーガーにより強く思ってほしいことはどんなものなのだろうか。
「試合中、プレーで自分を助けてくれる人はいません。どんな時も、自分が責任を持たないといけないんです。監督に言われようが、コーチに言われたことをやった結果であろうが、全ての責任は自分にあるんだということを認識しないといけません。プロはそんなに甘くないですし、そういったことをいかに理解して、考えてプレーできるようになっていけるかどうかだと思います」
考えて野球をする――野球人にとっては、大きな課題であり、それが成長を手助けする。だが、寺内監督は1年、指導をしてみて、感じたことがある。
「考えて野球をやるって意外と難しいのかなと思っています。昨年は『考えてほしい』『考えてほしい』と言い続けていましたが、“知らないこと”を考えることはできません。なので、ある程度、教えてしまうというか、手を差し伸べないといけないのかなと思っています。コーチングですけど、ある程度、ティーチングの部分が出てきてもしょうがないのかなと思っています。すべてを考えさせるというのはすごく難しいな、という思いもあります」
現役時代、寺内監督は偉大な先輩たちに囲まれていた。小笠原道大、谷佳知、高橋由伸、阿部慎之助、鈴木尚広…彼らに積極的に打撃や走塁など野球の技術を聞いている姿が多く見られた。自分で考えて、教えてもらって、また考える。その繰り返しだった。
「全体練習の時間は限られていると思います。野球を考えている時間はすごく長かったですね。選手同士でも、野球の話をいっぱいしていました。自分のやりたいこと、どういう選手になりたいかのか――。選手は考える時間を大切にしていかないといけないと思います」
指導するカテゴリーによって「考える」と「教える」のバランスは変わってくるが、寺内監督は第二の野球人生で、自分らしい指導法を模索しながら、目標に向かっている。
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(楢崎豊 / Yutaka Narasaki)