GG賞は本当に守備で貢献した選手が選ばれたのか? データと投票結果を検証【2019年パ編】

二塁手ではロッテ中村、中堅手では楽天辰己が指標では最も優れていた

 一塁手で受賞した内川はシーズンを通して失策ゼロ。同ポジション平均の選手に比べて守備でどれだけ失点を防いだかを示す「UZR」の18.6は12球団の主な一塁手の中でも飛び抜けた数字を残しており、誰もが納得の受賞に。二塁手では浅村が受賞したが、守備指標ではロッテ中村が1位、西武外崎が2位。UZRは中村が9.2、外崎が8.5で浅村は1.7と差がついている。投票では浅村と外崎が接戦で、中村は3位だった。

 三塁手は7年連続で松田宣が受賞した。ただ、守備指標でいえば松田宣は秀でているわけではない。UZR-5.0は12球団で600イニング以上守った三塁手で最低の数字だった。とはいえ、リーグ1位のレアードがUZR0.8、2位のウィーラーが0.0と高くない。松田宣は2018年にUZR13.5を記録しており、長期間連続してゴールデングラブ賞を受賞してきていることもプラスの印象に繋がったと言えるだろう。

 2年連続で遊撃手のゴールデングラブ賞に輝いた源田。守備指標でもUZR22.4と12球団でも抜きん出た数字を残しており、文句なしの選出だ。ただ、2番目に票を集めたソフトバンクの今宮健太は守備指標で見ると、UZR-6.3と低い数字となっている。15.9の日本ハム中島卓也や0.1の楽天茂木栄五郎の方が上回っている。今宮は2014年や2015年に10を超えるUZRを記録していたが、近年、続いている故障が影響しているのか、数字が低下している。

 最後に外野手だ。ゴールデングラブ賞は秋山、荻野、西川といずれも中堅手が受賞した。だが、守備指標でいくと、秋山が2位、荻野が3位、西川が4位だった。この3人を上回る1位だったのは楽天のルーキー辰己涼介。UZR9.7は12球団でも2番目。守備イニング数が791回2/3と少ないが、秋山でさえ-3.8だったことを考えれば、この成績がどれだけ優秀か分かるだろう。UZRは同ポジション内の比較となるが、左翼手だった西武の金子侑司はUZR19.8を記録していた。

 このように守備指標から見る守備での貢献が光る選手と、実際にゴールデングラブ賞の受賞者を検証してみると、違いがあることが分かる。こうして、データも見ながら野球を見ると、また1つ楽しみが生まれるのではないだろうか。

【一覧】結果と各選手のUZRはどこまで一致する? 2019年パ・リーグのGG賞の投票数と守備指標の一覧

RECOMMEND

KEYWORD

CATEGORY