GG賞は本当に守備で貢献した選手が選ばれたのか? データと投票結果を検証【2018年セ編】

広島・田中が受賞した遊撃手だが、巨人・坂本がUZRではダントツ

 一塁手で選ばれたロペスは、同ポジション平均の選手に比べて守備でどれだけ失点を防いだかを示す「UZR」ではセ・リーグで2位。UZRのトップは中日・ビシエドだったが、それでも-0.7。ロペスが-1.6とその差はわずか。ロペスは2016年に9.4、2017年に8.2と高いUZRを残しており、決して守備の悪い選手ではないことが分かる。二塁手は6年連続で広島・菊池涼。この年は12球団でトップのUZR9.8をマークしており、順当な選出だったと言える。

 三塁手は対照的な結果に。選出されたのはDeNA・宮崎敏郎だったが、セ・リーグでUZRトップだったのは阪神・大山悠輔の2.1だが、守備イニング数が776イニングと少なかった。巨人・マギー(-2.6)、中日・福田永将(-4.5)、広島・西川龍馬(-11.1)と続き、宮崎は500イニング以上守った選手で最も低いUZR-11.3。ただ、宮崎は前年にUZR11.5を記録しながら、ゴールデングラブ賞を逃していた。

 遊撃手はセ・リーグ3連覇を果たした広島・田中がゴールデングラブ賞を受賞。ただ、この年セ・リーグでUZRがトップだったのは巨人・坂本勇人の10.0だ。さらに中日・京田陽太が5.9、ヤクルト・西浦直亨が3.9で続き、田中は4位の2.2だった。田中はそれ以前のUZRも、坂本に劣っており(2016年、2017年は坂本がGG賞)、リーグ3連覇の印象度が大きかったということだろう。

 丸、大島、平田が選出された外野手はどうか。中堅手で見ると、大島は12球団トップのUZR11.9をマーク。その一方で丸の-4.3は、DeNA・桑原将志(9.7)やヤクルト・青木宣親(-4.0)より低かった。ただ、丸は2017年に17.1、2016年に11.8の指標を残しており、元々、守備能力は高い。2013年から連続して受賞していた点もプラスに働いたのではないか。「UZR」は同一ポジション内での比較となるが、平田は右翼手でセ・リーグトップのUZR11.9を記録しており、順当な選出だった。

 このように守備指標から見る守備のいい選手と、実際にゴールデングラブ賞に選ばれた選手を比較検証してみると、違いがあることが分かる。こうして、データも見ながら野球を見ると、また1つ楽しみが生まれるのではないだろうか。

【一覧】結果と各選手のUZRはどこまで一致する? 2018年セ・リーグのGG賞の投票数と守備指標の一覧

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