巨人はなぜ9連覇出来たのか? 長嶋&王で無敵も、潮目を変えたドラフト導入
戦力集中、傑出したONの存在、世代交代が成功した投手陣
巨人9連覇の主力は、ドラフト制導入前に入団した選手が多く、好素材が名門の人気球団に集中しやすい環境に助けられたのは間違いないだろう。特に、ONの存在は傑出していた。9連覇の間で王は本塁打王9回、打点王6回、首位打者4回、MVPも5回獲得している。長嶋は首位打者2回、打点王3回、MVP3回。さらに、盗塁王に4回輝いた柴田勲がリードオフマンとして活躍した。捕手・森昌彦、二塁手・土井正三、遊撃手・黒江透修ら、脇役も多士済々だった。
投手陣はV9の間に世代交代をスムーズに行うことができたといえる。大投手・金田は移籍後、巨人では1度も20勝に到達できなかったが、練習や私生活面で貴重な意識改革をもたらした。また、川上監督は情報戦を重視し、先乗りスコアラーを拡充。これが、日本シリーズでパ・リーグ優勝チームを退けるのに役立ったといわれる。
ドラフトによって戦力均衡が進んだ現在、こうした大連覇はほぼ不可能だろう。かくして巨人のV9は、アンタッチャブルな記録として球史に残り続ける。
(広尾晃 / Koh Hiroo)