「自分でぶち壊した試合が思い出」通算167S・武田久から続く日ハム中継ぎ陣の系譜
リリーフ一筋の宮西「見てくれる人が見てくれればいい」
入団時からリリーフ一筋の宮西だが、2年目には先発に嫉妬してした時期があったと聞いたことがある。リリーフは抑えて当たり前で、打たれた時だけ目立つ。その理不尽さに納得いかなかったからだ。チームメートの「リリーフのおかげ」という言葉に救われ、その後自身の不調時に「ここまでチームのために抑えてきたんだから」と声をかけられて完全に吹っ切れた。以降は「見てくれる人が見てくれればいい」と一喜一憂することはない。武田の仕事ぶりを間近で見ていたこともあり、たどり着くべくしてたどり着いた答えなのだろう。
リリーフに誇りを持つ宮西は「グラウンドで目立ってはいけないけれど、記録の時は目立っていい」という自負を持っている。入団1年目から13年連続50試合以上登板とフル回転し、337ホールドと歴代最多記録を更新し続けているのも、リリーフの評価を高め、若い人の道標となるため。「最初からリリーフを目指すピッチャーに(プロに)入ってきてほしい」という思いがある。
その心意気をしっかりと受け止めた後輩がいる。昨季、先発とリリーフの両方をこなして53試合に登板した堀瑞輝投手は、昨オフの契約更改でリリーフを志願した。自身がオープナーを務めた試合で「ベンチでリリーフの人が出ていくのを見ていると、キラキラして見えて、あっちがいいなと思いました」。派手さはなくても献身的にチームを支える仕事人の姿は、今の若い投手から見てもカッコいいと映るようだ。
堀が追いかけるのは宮西の背中。「身近にミヤさんがいるので。追い越すというのはまだ自分で言うのは早いと思うので、まずはそこを目指して。いずれは何とか追いつけるようになりたいなと思います」。そう話していた昨オフは、宮西、加藤と一緒にハワイで自主トレを行った。球界を代表するリリーフに鍛えらえれた22歳左腕は今季どんな投球を見せてくれるだろうか。
栗山英樹監督が「うちの生命線。宝物」と評したこともある日本ハムのリリーフ陣。武田が築いた仕事人の系譜は、宮西そしてさらに若い世代へ続いている。
(石川加奈子 / Kanako Ishikawa)