【teams】名門で4度の甲子園も「野球が大嫌いに」…後悔から草野球で取り戻したもの
今でも野球がうまくなっていると実感できるほど楽しい草野球「18、19歳だったらもしかして…」
「草野球は自由だと思うんです。チームには色がありますし、そのチームの良いものを見せて行っていければいいと思います。野球はいくつになっても、上手になるし、楽しくなるなとも感じています。智弁和歌山で3番(打者)とかを打たせてもらえましたが、バッティングは今の方がいいと思っていますし、この状態で18、19歳くらいだったら、本当にプロを目指せるんじゃないかなと勝手に思ってるくらいです」
自分を「守備の人」と言うが、草野球チーム「クーニンズ」では、中心打者。草野球チームマネジメントツール「teams」で個人成績を見ると、上野さんの高い打撃成績が見てとれる。自身のYouTubeチャンネルでも打撃映像をアップしている。高いパフォーマンスを披露することが使命とあり、草野球活動は休止しているが、準備だけは怠らないようにしている。高い意識はプロと同等だ。
「(緊急事態宣言で)趣味を奪われた感じで、物足りなさは日々感じていますが、個人の楽しみだけで動くわけにはいきません。ただ、野球をやってない間があったから、動けないというようなことがないようにしたいという話はみんなとしています」
上野さんは、ベースボールアカデミーも開講し、野球を教えている。そこには動画を見て、集まってきた子供たちも多くいる。
「草野球でもこれだけ熱くなれて、一生懸命できるんだと言う思いを見せたいなと思っていますし、30歳を超えた今でも野球が上手になっているという感覚があるということは、小・中学生ならば、もっともっと上手くなるんじゃないかと思うんです。自分で限界を決めず、一生懸命やったら、たとえプロにならなくても、納得感はあるはず。自分の思った通り、一生懸命やってほしいですね」
一度、野球から離れてしまったからわかることもある。その期間は上野さんの人生にとって大きな時間だった。
「今、考えると野球を辞めてしまったという後悔もありますし、リーグ戦に出場した明大の同級生と集まって話をした時、立場が少し違うな、と思ってしまうこともあります。でもその経験が、草野球をやる中で、めっちゃ野球が好きと言うことにもつながっている。(良かったこと、後悔の思いは)両方あるかなと言うような感じです」
まだまだ、自分の技術の伸びしろを感じているというから驚きだ。敵は年齢に伴う体力面だと笑う。誰だって、大きな壁、目標を失うことはあるだろう。だが、大切なのはそこをどう乗り越えていけるか。上野さんは動画や野球塾を通じて、自分の経験を伝えていく。
(楢崎豊 / Yutaka Narasaki)