ディマジオ、高橋慶彦、イチロー… MLBとNPBの連続試合安打記録は?
連続試合安打の日本記録は広島・高橋慶彦が記録した33試合連続安打
NPBの記録は広島の高橋慶彦が1979年に記録した33試合連続安打が最高。6月6日の中日戦からスタートし、7月31日まで続いた。高橋はずっと「1番遊撃手」で出場した。7月31日の巨人戦、高橋は最初の打席で新浦寿夫から左前打を打ち、1971年に阪急の長池徳二が記録した32試合連続安打のNPB記録をあっさり抜いたが、その直後の2回の守備で走者と交錯して途中退場。以後、5試合を欠場。8月8日の阪神戦に出場したものの、安打は出なかった。
絶好調だっただけに、負傷がなければ高橋の記録はさらに伸びていた可能性がある。この間の打撃成績は、143打数57安打7二塁打5三塁打2本塁打13打点の打率.399。盗塁を21個も記録している。最強のリードオフマンだった。高橋慶の大活躍もあって、広島はこの年優勝している。
平成以降では、2015年、西武、秋山翔吾が31試合連続安打を記録している。6月2日の交流戦、中日戦に出場した秋山は7月12日の日本ハム戦まで、すべて「1番・中堅」で出場し、安打を打ち続けた。この間の成績は129打数59安打9二塁打1三塁打3本塁打12打点、打率.457と言う凄まじいものだった。
秋山は7月14日の楽天戦では三振、右飛、遊飛、左飛と安打が出ず、2-2の延長10回に最終打席を迎えた。この打席で安打が出なければ、大記録は途切れる。投手は青山浩二。フルカウントから145キロの速球は外角高め。明らかなボール球だったが、秋山にはファウルを打つのは容易に思えた。しかし、きっちりと見送って四球。このあと浅村も四球で出塁し、中村のサヨナラ3ランが出ている。個人記録より、チームの勝利を優先した秋山の姿勢は称賛に値する。秋山はこの年、216安打のNPB記録を打ち立てている。
NPB記録は前述のとおり、高橋慶彦の33試合連続安打だが、2軍まで含めるとオリックスの鈴木一朗が1992年6月20日のウエスタン広島戦から1993年8月7日まで、シーズンをまたいで記録した46試合連続安打が最長だ。鈴木一朗はのちのイチロー。当時の鈴木一朗は、1軍と2軍を行ったり来たりしていた。2軍の試合にはとびとびにしか出場しなかったが、その試合すべてで安打を打ったのだ。
NPB、MLB併せて4367本もの安打をたたき出した不世出の安打製造機は、10代から破天荒な記録を打ち立てていたのだ。連続試合記録は、地味だが確かな技術を持った大打者でなければ樹立できない記録だといえよう。
(広尾晃 / Koh Hiroo)